こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。
- 美術室にどんな本を置けばいいか分からない
- 生徒用資料として役立つ本を知りたい
- 生徒へ説明する際の教師の補助として役立つ本を知りたい
- 免許外教科担任・臨時免許で美術を持つことになって困っている
こんな方におすすめの記事です。
著作権の都合上本の中身を載せられないのが残念ですが、授業や部活で使える生徒用資料の一例として、これから先生を目指す人や現役の美術の先生、免外や臨免で美術を担当している先生方にも役立ててもらえると嬉しいです。
今回は《動物の描き方》にまつわる本の紹介です
技法書は、制作のどの段階で見せるかが重要
技法書系の本については、テーマが決まったり、こういう作品にしたいというイメージが固まったりした後に見るものとして渡していました。
前提としてしっかりと「これを描きたい・作りたい気持ち」というがないと、ただテクニックを追うだけになってしまうんですよね。
犬のこんなポーズを描きたいとか、写実的に描きたいとか、キャラクター風にとか…
表現したいという気持ちが追いつかないまま作業を進めても、効果が半減する気がしています。
部活動などであくまでも練習のための模写に使うなら、また別なんですけどね。
テクニックが思考を自由にする
テクニックを追うだけでは効果が半減する…とは思っていますが、テクニックがないとイライラして、描きたい気持ちが半減していくこともまた事実だと思っています。
自分で「美術が苦手だ」と思っている生徒にとっては尚更でしょう。
「描きたいけど描けない!骨折してるみたいになっちゃう!」
「ライオンに見えない!でもどうやったらライオンっぽくなるのかわからない!!もういい!!」
こんな感じで投げ出してしまうんですよね。
わたし自身は決して優秀な生徒ではなかったので、テクニックがない苦しさも美術教師界の中では割と味わってきている方だと思います。
「このテクニックを、学生のときに知っていれば…!」と、先生になってから思うこともしばしばありました。
テクニックが必須だとは思いません。
でも、テクニックがあることで思考が自由になる部分があるのは事実だと思います。
「こんなアイデア思いついたけど、どうせ描けないし、やーめた!」は、もったいないですからね。
テクニックを学ぶことは非常に重要ですし、これからご紹介するような本にも意味が出てきます。
動物の描き方(全般)
『動物の描き方』
わたし自身はイヌに噛まれた経験から動物が苦手なこともあり、動物と触れ合う機会なく多感な時期を過ごしてしまったんですよね。
動物ならではの歩き方や走り方などがなかなか掴めず苦労したので、この本を書店で見かけたときに「こういう本、中学生の時にほしかった!」と思いました。
イヌ・ネコ・ウマ・ブタなど馴染みがあるたくさんの哺乳類の描き方が、骨格の仕組みや模様の特徴をまじえてていねいに紹介されています。
文字も絵も豊富で、動物を描く上での基礎が散りばめられている一冊です。
『獣医さんがえがいた動物の描き方』
こちらは中学生にとって最も身近と言える動物のイヌとネコを中心とした本です。
さまざまな種類のイヌ・ネコが載っているので、「うちで飼ってるコーギーをもっと自然な感じに粘土で作りたい!」など生徒が自身のペットをテーマに制作する際には特に活躍しました。
特定の動物の描き方
『ねこを描く』
耳や口などパーツごとの表現、そして画材別(鉛筆・色鉛筆・ペン・アクリル絵の具)の表現が載っていて、作者の「ネコの魅力を表現したい!」という気持ちが伝わってきます。
筆者さんはネコが大好きなんだろうなぁと強く感じる一冊で、キャッチフレーズとして“肉球からしっぽの先まで愛をこめて”と書かれているのも納得です。
『鳥の描き方マスターブック』
名前の通り鳥類の描き方に特化した本で、翼の動かし方や頭部の角度など、トリの特徴の捉え方のコツが具体的に紹介されています。
著者のジョン・ミューア・ローズさんは博物学者で教育者で、その上さらにアーティストだということなんですよね。
精緻なタッチで描かれたトリがたくさん掲載されていて、指導にとても役立ちました。
また、こちらはわたしが退職してから発売された本なのですが、いわゆる鳥のポーズ写真集です。
生徒の想像力を刺激できそうな躍動感あふれる写真ばかりなので、勤めていたら絶対に購入している一冊です。
絵画、イラスト、漫画、手芸、工芸など、あらゆる創作活動に役立ててほしい!という写真資料集のシリーズだそうで、鳥類以外にも花や風景のものが発売されていました。
『幻獣と動物を描く』
映画『スター・ウォーズ』『ジュマンジ』の制作にも関わったテリル・ウィットラッチさんという方が著者で、実際には存在しない動物や異星人の描き方について描かれています。
想像上のクリーチャーに対して骨格や筋肉の付き方、生態を考えながら描いていくことでリアリティを生み出すという、面白い発想の一冊です。
イラストなどの平面作品だけでなく立体作品を作る生徒にも役立っていました。
同じ作者の本が何冊かあって、後から発売されたこちらの『幻獣デザインのための動物解剖学』のほうが幻獣のもとになった動物がより分かりやすい構成になっています。
おわりに・美術の先生としての指導上の留意点
授業中に生徒自身でネット検索ができる環境があったり、生徒自身が自宅でプリントアウトをしたりパンフレットや本などを用意することが容易な環境であれば、今回ご紹介したような資料の選び方とはまた違ってくるかもしれません。
美術の先生の役割として共通していることは、著作権に関する指導です。
本に載っている写真や絵を「自分の作品」としてそのまま描いたり作ったりしてしまわないようにという指導を欠かさないように気をつけていました。
資料はあくまでも表現のヒントであるということ、そして《自分の中から主題を生み出すこと》の大切さと尊さを伝えることが重要なんですよね。
「先輩はこの本を参考に、こんな絵を描いていたよ」と言って過去の生徒作品と書籍を照らし合わせて説明すると、《自分の中から主題を生み出すこと》が大変だけど素晴らしいということに納得してもらいやすかったです。先輩たちに感謝ですね。
この記事が生徒用資料書籍の一例として、これから先生を目指す人や現役の美術の先生、免外や臨免で美術を担当している先生方にとって少しでも参考になると嬉しいです。
他にも生徒用資料に関する記事を書いています。
ぜひあわせてご覧くださいね。
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