こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。
- 美術室にどんな本を置けばいいか分からない
- 生徒用資料として役立つ本を知りたい
- 生徒へ説明する際の教師の補助として役立つ本を知りたい
- 免許外教科担任・臨時免許で美術を持つことになって困っている
こんな方におすすめの記事です。
著作権の都合上本の中身を載せられないのが残念ですが、授業や部活で使える生徒用資料の一例として、これから先生を目指す人や現役の美術の先生、免外や臨免で美術を担当している先生方にも役立ててもらえると嬉しいです。
今回は《動物》にまつわる本をご紹介します。
イヌやネコなどの身近な動物だと自分で撮った写真を制作のための資料として持って来てくれる生徒も多かったのですが、美術室の本で他のポーズを見ることで体の仕組みがわかりやすくなったり、自分の家のペットならではの表情に気付いたりと、いろいろな発見があったようです。
他にも日常生活では中高生にあまり馴染みのないような動物や、生徒自身では資料を見つけづらい動物を考えて資料を用意しました。
なお「動物の書き方の技法書」については、別の記事でご紹介しています。
イヌ・ネコ・ウサギ・トリなど小動物
『いぬ』『ねこ』
ネコは体の柔らかさが特徴というか、他の動物に比べると大胆で独特なポーズが多い気がします。
その分、体の仕組みについて悩む生徒が多かったんですよね。
岩合光昭さんといえばネコの写真がとても有名で、Amazonの関連書籍欄はご覧の通りです。どれを購入すれば良いのか迷ってしまうほどたくさんのネコの写真集があります。
そしてネコだけではなく、イヌの写真集もあるのです。こちらは文庫版のお手軽サイズが新たに発売されていました。
『図鑑 世界の犬 純血212種』
著者の小島さんはドックショーの審査を50年以上務めてきた方だそうで、シンプルなポーズの写真と重さや体長、原産国などのデータが載っています。
写真集というよりはタイトル通り図鑑で、とにかくいろんな犬種を網羅したいと思って選びました。
『たのしいまきば』
ヒツジやアヒル、ブタにウサギなど、牧場の仲間たちのかわいい姿が満載の写真集です。
顔のアップも全身も両方載っているところが結構使いやすくて、「この動物ってどんなポーズをするんだろう?」と生徒から尋ねられたときに、まず見せていた一冊でもあります。
『ピーターラビット™の仲間たち 写真集』
この本はコンセプトが面白くて、ピーターラビットの絵本のイラストと本物の動物の写真が並んで載っています。
単にウサギやリスを描くときの参考資料というだけではなく、「動物をイラスト化する」ということを理解しやすくしてくれる本として役立つ一冊です。
著者の菜十木さんは、ピーターラビットのお話に登場する動物すべてを撮るという目標を前に、なんと病に倒れ亡くなったそうです…。素敵な本を世に出してくださって、ありがとうございます。
『鳥の形態図鑑』『鳥の正面顔』
この本は翼や尾、くちばしの形態などが細密に描かれていて、羽の並び方や脚のつき方などを説明する際にとても助けられました。
特に翼については「天使の羽が生えた女の子が描きたい」なんて要望にも応えることができるので、役立つ場面が多かったです。
著者の赤さんはイラストレーターとのことですが、この洞察力と知識量は生物学者レベルなのでは…?
そしてこちらは、トリの正面顔の写真だけを集めた本です。
正面顔ってあまりピンと来ないかもしれませんが、これが意外と生徒から尋ねられるものなのです。
『動物mg図鑑 みんな何食べてる?』
レッサーパンダ、カワウソ、ラッコなどが、もぐもぐ、シャクシャク、ちゅーちゅー…と食べている姿ばかりが載っている一冊で、図鑑というよりは写真集ですね。
描くのも作るのも難しい複雑なポーズにはなりますが、おいしそうにご飯を食べる姿はとても魅力的で、他の本にはあまり載っていないんですよね。
作品モチーフとして取り入れたい気持ちになる生徒が多くいました。
大型動物・特殊な生物
『地球動物記』
今はネコの写真で話題になることが多い岩合さんですが、世界中を駆け巡ってさまざまな環境の動物写真を撮ることで有名な写真家さんなんですよね。
わたしが最初に岩合さんを知ったのは、ヌーの群れの写真だったと思います。
この本はもう本当にどのページを見ても物凄い迫力で、ホッキョクグマ、ジャイアントパンダ、アフリカゾウ、ライオン、ペンギンなど250種類以上の動物の生き生きとした姿が捉えられています。
生徒のために本を買う予算が組まれているなら岩合さんの迫力ある写真の本を買いたい!と、着任してかなり日の浅いうちにこの本を選びました。
本体4700円と安くはない本なのですが、内容を知ると決して高すぎない充実した一冊です。
『ぱんだ』
本屋さんで手に取った本が、また岩合さんの本だった…というのが動物写真集あるあるではないでしょうか。パンダの本もあるのです。
パンダをモチーフにイラストが描きたいっていう声は結構多くて、パンダだけの本を導入しようと思って選びました。
『淡水微生物図鑑』
中学生みんながみんな、もふもふした動物ばかりを好むわけではないのです!
そうは言っても、ミドリムシやボルボックスについて尋ねられても、うさぎ先生には分からず…ということで導入した本です。
必要とされる場面は決して多くはなかったのですが、微生物を模様的に描いたり、透明水彩で淡く表現したりと、「この本がないと説明できない!」と思う場面が何度も確実に存在しました。
ただ、記事作成時現在は在庫が品薄みたいで、Amazonでは1万円超えの中古本しかないみたいです…本来は税込3740円なのですが。
別の著者の本ですが、これらの本が役割としては似ているかと思います。
『モンスター大図鑑』
この本はホラー要素が強く、かなり独自のものがあり面白いです。
中学生には刺激的すぎるので「怖いよ?」と前置きをしてから見せていましたが、SF映画が好き!ハロウィンの特殊メイクを見るのが好き!なんて生徒はグッとのめり込んで読みます。
吸血鬼、狼男、マッドサイエンティスト、ゾンビ、亡霊、竜、魔女など…ベースとしては人間ですが、動物をキャラクター化して描きたい生徒にとっては創作の参考になる一冊です。
『新世界 透明標本~New World Transparent Specimen~』
元々は特殊な薬品につけることで「筋肉を透明化し、軟骨を青く、硬骨を赤く染色する」という骨格研究なのですが、透明標本って、色合いはゆめかわファンタジーなんですよね。
美術室で実際に標本を作るわけにはいきませんでしたが、この本からロマンを感じて想像の世界を広げる生徒は多くいました。
おわりに・美術の先生としての指導上の留意点
授業中に生徒自身でネット検索ができる環境があったり、生徒自身が自宅でプリントアウトをしたりパンフレットや本などを用意することが容易な環境であれば、今回ご紹介したような資料の選び方とはまた違ってくるかもしれません。
美術の先生の役割として共通していることは、著作権に関する指導です。
本に載っている写真や絵を「自分の作品」としてそのまま描いたり作ったりしてしまわないようにという指導を欠かさないように気をつけていました。
資料はあくまでも表現のヒントであるということ、そして《自分の中から主題を生み出すこと》の大切さと尊さを伝えることが重要なんですよね。
「先輩はこの本を参考に、こんな絵を描いていたよ」と言って過去の生徒作品と書籍を照らし合わせて説明すると、《自分の中から主題を生み出すこと》が大変だけど素晴らしいということに納得してもらいやすかったです。先輩たちに感謝ですね。
この記事が生徒用資料書籍の一例として、これから先生を目指す人や現役の美術の先生、免外や臨免で美術を担当している先生方にとって少しでも参考になると嬉しいです。
他にも生徒用資料に関する記事を書いています。
ぜひあわせてご覧くださいね。
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