- 先生や教職志望者をやさしく応援するブログ -

教員採用試験の合格体験記・大阪市の教採に新卒で合格した話 【中学美術】

大阪市教員採用試験合格体験記中学校美術圧迫面接勉強 学校の先生
          記事内に広告を含む場合があります          
    記事内に広告を含む場合があります    

こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。

今回の記事ではわたしが新卒採用で受験して合格をいただいた大阪市の教員採用試験(中学美術)について、当時のことを思い出しながら、当日の雰囲気や試験内容、面接の様子などを教採合格体験記として書き残しておくことにしました。

大阪市教員採用試験合格体験記中学校美術圧迫面接勉強

教員として8年間勤めたわたしですが、「教員になろうとしていた時のこと」についてしっかりと振り返ったことがないなと気付いたんですよね。

ちなみに合格はいただいたものの、わたしは結局公立の教諭ではなく私立の常勤講師を選んだので、そういった話にも少し触れていきますよ。

2012年度(平成24年)採用試験の内容ということで今ではずいぶんと変わっている部分もあるかと思いますが、少しでもどなたかの参考になれば幸いです。

教員採用試験の体験談について知りたい方は、ぜひ最後までご覧くださいね。

教採を受けるまでの準備

大阪市を選んだ理由

わたしは関西出身ではありますが、当時通っていた美大は石川県だったんですよね。

教採を受けるにあたってはどの自治体を選ぶべきかと悩みましたが、出身の中高一貫校が(私学ではありますが)大阪市内でしたので、母校のある馴染みある自治体ということで大阪市を選びました。

大阪“”でもよかったんですけど、府だと広すぎて全然知らない場所に赴任となると困るかな…という単純な理由でやめました。

ある程度の土地勘がある場所
住むにも働くにも安心かなって
思ったんですよね。

中学を選んだ理由

教育実習は母校で、中学校の内容を経験しました。

母校ではそもそも高校に美術の授業が全くなかったこともあり、高校美術の教員像が自分の中でいまひとつ定まらなかったこともあり、中学美術を志望しました。
芸術科は音楽一択の高校だったんですよね。

試験の対策

大学や学部によっては教採仲間がたくさんいる場合もあるかと思いますが、わたしが通っていたのは教育大ではなく美大だったこともあり、教採受験者は一学年に4、5人程度でした。

ありがたいことに教育心理学担当の先生が定期的に勉強を見てくれていたのですが、なかなかそれだけでは足りなくて、個人的に勉強をする必要がありました。

何かと気にかけてくださり、
また親しみやすくもある先生で
今でもお世話になっています。

ありがたや…

教育大に比べるとどうしても情報が少ない環境だったと思うのですが、これは大学の所在地ではない自治体を受験したことと、過去問の公開がない私学を併願受験したこと、そして今ほどインターネットが発達していなかったということが影響しています。

最近はオンラインで行う面接対策講座もあるって聞きますし、ずいぶんと変わってきていますよね。

わたしが試験対策に使用していたテキスト類は、別の記事で詳しくご紹介しています。

併願した自治体

試験の日程が被らなければ他都道府県との併願も可能ですが、わたしは公立は大阪市のみにして、別途私学の教採を受験しました。

大阪府内の私学の採用情報については、私学連合のHPに随時掲載されます。
公式教員·教員志望の方へ|大阪私立中学校高等学校連合会

わたしは中高一貫校(母校ではない)の美術の常勤講師の試験を受け、結果としてはこの私学に8年間勤めることになるのですが、それはまた別の話ということで…

第一志望はどっちだったの?
訊かれると悩ましいのですが…
受験の時はどちらも全力でした!

今回の記事では、大阪市の教採についてのお話を引き続き進めていきますね。

大阪市公立学校教員採用選考テストの内容(中学美術)

2012年度(平成24年)採用の試験内容はこちらです。

  • 第1次選考
    • 筆答(一般・教職教養)
    • 面接(集団)
  • 第2次選考
    • 実技
    • 筆答(専門教養)
    • 面接(個人)

なお第1次選考の「筆答」については、大阪市内で常勤・非常勤講師として規定時間数以上の勤務があれば、教諭・講師等経験者特例として「筆答」と「論文」のいずれかを選択することが出来ました。

また、前年度に第1次選考で「合格」したのち第2次選考で「不合格」と判定された人は、「前年度1次合格者特例」として今年度の1次選考が免除されました。

第1次選考テストの内容・感想

会場について

会場は、市内の中学校でした。

学校の前の道路には教採対策塾の集まり?のような集団がいくつか出来ていて、異様な雰囲気でした。

大阪の大学に通っている人にとってはそういった集団に所属することが普通なのかもしれませんが、わたしは大学が金沢(石川県)なので、余計に馴染みがなかったんですよね。

今思えば、講師登録している人同士
知り合いって人も多かったのかも。
わたしは完全に単独で臨んだので、

なんだこの雰囲気…と思っちゃいました

筆答(一般・教職教養)

マーク式30問・試験時間は90分でした。

2010年度は30問、2011年度は32問だったそうなので、また30問に戻ったんですね。

大阪市の教員採用試験合格体験記一般教養教職教養過去問

大阪市は割と平易な出題内容だという印象です。

特に教職教養については、なんと5問だけしかなかったんですよね。
生徒指導提要や人権に関する内容でしたが、最悪すべて不正解でも配点的にはなんとかなるのでは?

一般教養25問で、英数国が多めでした。

わたしは特に保健体育が苦手で、球技のルールなどがどうしても覚えられなくて直前まで困っていたのですが、実際に出たのは「感染症に関する記述から誤っているものを選べ」という保健に関する1問だけで、試験中に安堵したのをよく覚えています。

今回の大阪に関するいわゆるご当地問題は、「大阪の位置に関する記述から正誤の正しい組み合わせを選べ」という地理に関するものでした。

面接(集団)

筆答と同日で、約30分5人ほど集団面接でした。

司会者を決めて進める集団討論タイプではなく右端あるいは左端から答えていく形式で、月並みな内容が多かったのですが、とある男性受験者の発言が大変衝撃的で強く印象に残っています。

いやーもうこれで△回目の受験なんですよ。講師頑張ってるんですけどね。なんとかなりません?」といった内容を、笑いながら回答していたのです!

志望動機の時だったと思うのですが、面接官もびっくりしたんじゃないかな…

彼が1次選考を突破したのかどうかは不明ですが、そういう軽率な発言がダメなんだぞと、誰か諭してあげて…と思ってしまいました…苦笑

前年度1次合格者特例の出願者は
この面接にいないはずだし、
去年は受かってない…のか…?

彼の今後に幸あれ…

ちなみに、わたしが事前に練習していたのはこういった内容です。

教採の面接対策で練習したこと
  • 志望動機を生徒に話すように答える
  • 大阪市を選んだ理由
  • 印象に残っている(尊敬している)教師
  • 他の教師と意見が違った時にどうするか
  • 教科の指導以外に力を入れたいこと
  • これまでに一番困った経験と対処内容

第2次選考テストの内容・感想

会場について

会場は市内の中学校で、1次選考のような謎の雰囲気はもうありませんでした。

地下鉄以外だとアクセスが悪い学校だったので、地下鉄遅延に備えて早めに行ったことを覚えています。

実技と筆答が同じ日で、面接は別日でした。

実技(描写・立体)

発掘した受験案内には描写・立体と書かれていましたが、私の記憶だと静物着彩画(水彩)を描いただけだったと思うんですよね。

THE・大学受験の着彩
って感じの出題でした。
美大受験経験者じゃない人には
けっこう大変だったのかも…?

美大受験着彩デッサンするめいかミニトマト透明表現
(同じじゃないけど、こういう系)

すごく覚えているのは、片付け中に数人の集団がジロジロと他の受験生の作品を見て回って「こいつには勝った、負けた」「何あの絵w」みたいなことを聞こえる大きさの声で話していたことなんです。

どこか同じの大学の集団だったのかな…

すごく後味が悪かったし、そういう人が先生として採用されていないといいなって思ってしまいます。

1次選考の面接といい、
まぁなんというか…
いろんな人がいるんだなぁ
学ぶ機会にはなりましたけど…

立体は片付けも何かと大変だし、実施されなかったのかな?あるいは隔年実施だったのかもしれません。

…あるいは記憶から吹っ飛んだだけかもしれません笑

筆答(専門教養)

46問+指導案で、時間は問題用紙に記載がありませんでしたがおそらく90分です。

大阪市の教員採用試験合格体験記専門教養美術過去問
  • 指導要領や色の知識の穴埋め(記述)
  • 著名な作品の作者を答える(選択)
  • 作品解説の要点(記述)
  • 指導案作成(記述)

もっと突っ込んだことを聞いてくるのかと思ったのですが、かなりオーソドックスな内容でした。

当時は、名古屋市の試験が難しい!
という噂だったんですよね。
最近はどうなんだろう?

指導案については「自分自身を見つめること」をテーマとして、合計4時間(4回)のうちの1時間目として指導する想定のものでした。

エッシャー・ゴッホ・シーレなど指定された6つの自画像から1つを参考作品として取り上げるように指定がありましたが、全員が海外の作家でしたので、有名どころばかりとは言え日本美術に長けているタイプの受験者にとっては少々辛い内容ですね。

指導案を書くことにやはり時間がかかりますので、試験開始後はまず指導案の内容を確認して、なんとなく頭の片隅で考えながら他の問題を解いて最後に指導案を書くというスタイルで進めました。

面接(個人)

2次選考は15分ほどの「場面指導」ということでいわゆる圧迫面接だとなんとなく把握していましたが、対策は正直あまり出来ていなかったんですよね。

面接教室の前で待っていると、なんとひとつ前の受験者の面接内容が丸聞こえでした。

受験者の声は聞こえなかったけど、
面接官の声がかなり大きかったので
内容が
聞こえてきちゃって…

面接官は通行人のおじさん役で、おおよそこのような内容でした。

お前(受験者)の学校の生徒が自転車で下校中にぶつかってきたせいで、俺のケータイが壊れたやないか。どうしてくれるんや。制服も着てるし下校中やし学校の責任やろ。

いや、怖…

ほんまに圧迫やん…って思いました…

実際下校中ってどうなんだ?でもそんなこと言ったら学校の責任範囲多すぎじゃない?仮に私学なら通学距離長すぎてキリないし…まずは「ご迷惑をおかけしました」で「警察に電話します」かな…いやまずは校長に報告か
……などと考えているうちに終了し、自分の番が来てしまいました。

わたしの場合は面接官は教頭先生役で、このような内容でした。

美術の夏休みの宿題は要らないと、中3の保護者からクレームが来ている。受験勉強が忙しいこんな時期に、これはほんまに必要なんか

わたしの回答は、こんな感じです。

生徒によっては中学校を卒業したら就職してしまいますし、高校では美術の授業がない学校だってあります。今年の美術の授業が、生涯最後の授業になる生徒が確実にいるのです。この一年をとても大事にしたいと考えています。

それに、わたしが出した宿題は「美術作品の鑑賞レポート」ですが、美術館に行けとは言っていません。たとえば、公園や駅の彫刻でもよいのです。受験生とはいえそんな身近な美術に触れるという心の豊かさ持つことも許されないとは、わたしは思いません

これが「想定されていた正答」なのかどうかは分かりませんが、実際にわたしは教採に合格しています。

出題意図を考えると、自身の美術教師としてのビジョンを持って答えることができるかどうかが問われる試験だったように思います。

ひとつ前の受験者の面接内容は教科指導に関係なさそうなものだったし、完全ランダムなのか、新卒か講師等経験者かで内容を変えていたりするのかな…?

教科に関する場面が当たってラッキーだったというか、美術の授業は何のためにあるのかっていう話は教採の勉強をする中で絶対に触れるはずのテーマなんですよね。

実際に、役に立たない教科だという悲しい話題になってしまうことも多い教科ですし…;;

それに今回の面接では夏休みの宿題の「内容」が指定されていなかったので、好きに設定してよかったところも答えやすかったです。運がよかったと思います。

ケータイ壊れたおじさんとの
圧迫面接だったら、
ちょっとやばかったかも…

大阪市って模擬授業いらないの?

模擬授業を課している自治体も多いと思うのですが、当時の大阪市では不要でした。

受験案内を見る限り、最新の2024年(R6)度の採用試験でも模擬授業は不要のようです。
公式大阪市:令和6年度大阪市公立学校・幼稚園教員採用選考テスト【概要及び詳細(受験案内)】

わたしは同時に志望していた私学で必要だったのである程度の練習は積んでいたのですが、中には模擬授業が苦手で、必要ない自治体の中から選んで受験している人もいるのだとか。

模擬授業の練習をすることで
得られる
経験値は大きいので、
教採に直接的には不要でも
やっておくのがおすすめです!

結果は合格!だけど…私学の講師を選びました

そんなこんなで内定通知書が届き、無事に公立学校教員としての合格をいただきました。

大阪市教員採用試験合格体験記中学校美術圧迫面接勉強

受験案内には中学10教科合計280名の採用予定との記載がありましたが、美術科の合格者は10名ほどでした。

採用倍率については忘れてしまっていたのですが文科省HPにデータが残っていまして、「大阪市」の「中学校」としての倍率が4.86倍ほどと全国の中でもかなり低倍率だったようです。

近年では、もっと低倍率の
教採も多
くなっていますよね
働かせ方をなんとかしないと
上がらないと思う…

そして、わたしはこのあと私学の常勤講師の合格もいただくことになるんですよね。

大阪市を選べば講師ではなく教諭ですし、任期なく定年まで公務員として働くことができます。

私学の講師だと有期雇用なので、最大3年

すごく迷ったのですが、自分自身が私学の女子校で育ったということもあり、また合格をいただいた私学は芸術教育をとても大事にする校風だという魅力もあり、大阪市の教諭は辞退届を出して私学の常勤講師を選びました。

公務員を蹴るなんてもったいない!
とも思いましたけど…
公立校だと美術の教科指導に
時間を割けない
という噂もあり…

ちなみにその後は2年常勤講師を経てから専任教諭として6年働き、いろいろ考えた結果として退職を選ぶことになり…そして今に至ります。

おわりに

今回はわたしが大阪市の教採を受験した際の経験をまとめた「合格体験記」をご紹介しました。

一部書類が手元に残っていたこともあり懐かしく振り返りながら書き記していったのですが、内容や当日の空気感は案外覚えているものだなと思いました。

10年以上前の経験談にはなりますが、教員を検討している方やこれから教員採用試験を受ける方にとって少しでも参考になると嬉しいです。

私学の教採ってどんな感じ?
私立と公立、どう違う?

コメント

タイトルとURLをコピーしました