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一斉休校③ 〜うさぎ先生が最後の日に考えたこと

コロナ禍で休校のまま卒業式がなくなり退職した教師 学校の先生
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こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。

今回の記事は、一斉休校要請により思い描いていた3月を迎えられなかったうさぎ先生の、最後の日のお話です。
前々回(①)は→こちら 前回(②)は→こちら

卒業式も終業式も中止

寝て起きたら、世界線変わってるかなって

「先生、今日期末試験の監督ですよ!」なんて言われて・・・予定通りの日々に戻るような気もしていたのですが、どうやら世界線は変わらないようです。

うさぎ先生の学校では、卒業式も終業式も中止になりました。次に生徒が登校するのは4月になってからです。
生徒に会うことなく、話をすることなく去ることになり、本当に休校エンドを迎えてしまいました。

やっぱり、“先生”なんだなと。

気になる生徒もいるけど・・・個別にその家にだけ電話をかけるわけにもいきません。
電話したところで、何かアクシデントが起きていたとして、直接的に助けられるわけでもなく。

仮に今助けられたとして、4月以降にも同じことができるわけでもなく・・・。

家族でもない親でもない、中学校の先生なんだなということを、改めて実感する3月でした。

この距離感だからこそできることもあるけれど、今のわたしには・・・寂しさ悔しさのほうが大きいです。
最後に生徒と会えなかったことだけが寂しいというよりは、この立場への寂しさです。

手放す生徒が、これまでずっと関わってきた生徒が、別の誰かの手によって、どんな女子高生になっていくのか・・・。
されたことないけれど、恋人を略奪された気分ってこんな感じかな?なんて思いました(笑

教育実習を思い出す

ニュースやSNSで「こんな特別なことしてもらった」っていう卒業式の写真がよく出てくるんですが、それを見るたびに思い出すのが、教育実習の最終日です。

わたしは母校での実習でした。
ホームルーム担当も指導教諭の先生クラスだった(指導教諭が教科の違う2名になる場合もある)ので、生徒とも先生とも関わる時間も長く、最後の日のホームルームでは嬉しいことに写真と寄せ書きをいただきました。

そのあとの、指導教諭の言葉が忘れられません。

「いいかい。こんなふうに写真と寄せ書きをもらったということを、教育実習生の控え室では言ってはいけないよ。」

そのときは・・・
まぁそういうもんなんだなぁぐらいに思っていたのですが、教育実習生の控え室に戻ったときのこと。

まさに。

「こんな特別なものもらった」と、嬉しそうに周りに伝える実習生が。
そして・・・「いいなぁ、わたしのクラスはそんなのくれなかったよ」と、うらやむ周りの実習生

わたしは、ハッ・・・としました。
さっき指導教諭が言ったのは、こういうことだったんだ、と。

特別なことをしてもらった実習生が、なにも、特別な実習をしたわけではない
うらやんでいる実習生の実習内容が、不足していたわけでもない

だけど周りを見ると比べてしまって、なんだか自分にだめなところがあったかのように思えてしまう。

「わたしも頑張ったのになぁ」

単に、指導教諭側に時間的余裕があったか、寄せ書き作成スキルがあったか、生徒の状態がよかったか・・・そういったタイミングの問題のはずなのに、成果をはかられているような気分になってしまう。

この出来事を味わってから、特別なことをする、しかも形に残るものを生徒に渡すことの重みというのを、人一倍気にしながら過ごしてきたと思います。

先生は、学校は、あくまで組織なんだぞ、と。

黒板アートをする先生だけが、いい先生なわけじゃない。
似顔絵を描かれた生徒だけが、いい生徒なわけじゃない。

《自分だけができること》は、しないほうがいい場合もあるんだぞ、と。

自分のクラスだけのものじゃない《特別》

そんなこともあり、写真を撮るときには他のクラスの子の分も撮ろうとか、スライドでムービー作るときは他のクラスも共通で見られるものにしようとか、行事の打ち上げをするしないは事前に担任同士で話をつけておこうと促すとか、いろいろと考えて・・・
《特別》を自分のクラスだけのものにしないようにしてきたつもりです。
自分のクラスだけ、お金や手間をかけて《特別》にする先生もいますので・・・。いろいろな考え方があるんだとは思いますけど・・・

たとえば、プリンタで写真を焼くだけでも数十分四苦八苦する先生もいれば、同じ時間でおしゃれな枠やメッセージまで入れられる先生もいます。
こういった場面では美術の先生は比較的後者になりやすいので、それもわかっていて、指導教諭はわたしに教えてくれたのだと思います。
知らない間に誰かを傷つけてしまわないように。

おわりに・・・最後の日

DVDを焼き続ける

今回も、他のクラスと共通で卒業記念ムービーを作っていたのですが、流せず・・・。
個人情報だけど、これだけはDVDに焼いて配ってもよいと学校から許可が出たので、片付けの合間に必死にDVDを焼いてきました。

家庭用DVDプレイヤーでも見れる設定にしたのですが、これが・・・macOSのバージョンアップに伴い、思いの外大掛かりなことに・・・。
(ものすごく助かった記事やYouTubeがあるのでまた別の記事でまとめますね。)

追記:オーサリングについての記事です

補修も講習もないし、次の授業の準備もないし、次年度の時間割作成もないしっていうか授業ができる状態になるのかもよくわからないし・・・うさぎ先生は、もう学校に行きません。

こんなに早く最終出勤日になるとは、本当に、全く予想していませんでしたが・・・。休校の間に片付けも引き継ぎもものすごく進んじゃいましたからね。授業がない分、休みの日もあったから、このブログも思いの外進んだしね・・・

まだ実感はない

8年間通い続けた場所ですが、明日からもう行かないということにまだあまり実感が湧きません。

特にうるっとくることもありません。

大人になって・・・しっかりとお別れをしていないけれど一生会うことはできない人が、もう既にたくさんいるからでしょうか。
「またね」が言えなくなるときが来るまでは、そのうち会えますから。

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