こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。
通知表を見て、「もっと成績がいいと思ったのに…」と感じる経験ってありますよね。
実技科目である美術は特に点数化が見えづらいので、「成績がおかしい」と特に感じさせてしまいやすい科目であると言えます。
- 美術の成績がおかしい
- 課題を提出したのに点数が悪かった
- 評点に対して評定が低すぎる
- 先生の好みで採点されてる気がする
こんな悩みを持つ生徒本人や、悩んでいるお子様を持つ保護者の方にとって、中学校の美術教師であったわたしの経験がなにかヒントになればと思います。ぜひ最後までご覧くださいね。
成績がおかしいと思った時にできること
教科担当の先生に理由を尋ねるべき!
成績が低すぎると思った時は、あなたの教科担当の先生に理由を尋ねてみるべきです。
もっともそれは、点数が覆ることを約束できるものではありません。
「こういう理由でこの点数になった」と点数の内訳について細かな説明を受けるにとどまる可能性も高いとは思いますが、予想よりも点数が低かった理由が分かることですっきりしますよね。
単に「点数を上げてほしい!」と言うと
取り合ってもらえないかもしれないので
「点数の内訳」や「評価の理由」を
冷静に尋ねるようにしましょうね
成績が本当に間違っている場合もある
「先生の評価は絶対!」と思い込まずに、万が一のヒューマンエラーがあったら…という可能性は考えてもいいんです。
あってはならないことですが、Excelがずれてしまった・転記の際にクラスを間違えてしまったといったヒューマンエラーの可能性が0ではないんですよね。
そういう意味でも、どうしても気になる・納得いかない場合は、その点数や評価になった理由を先生に尋ねてみたほうがいいです。
何でも疑ってかかるのは
よくないけど…
冷静に尋ねる分には、
いいと思いますよ!
ヒューマンエラーの経験談
これはわたしの経験談ですが…
担任を持っている生徒たちについて、他教科の確認用評定リストを受け取りました。
ふと目に入ったとある生徒の評価が明らかに低かったんです。
その子はペーパーテストの点数が上がったと非常に喜んでいたので、他教科のことではありますけど、担任として印象に残っていたんですよね。
当該教科の先生に理由を尋ねると…
なんとExcelの計算式が間違っていたんです;;
担任が気付けなかったらどうなっていたんだろう…と責任の重さにゾッとしましたが、教員同士でしっかりチェックし合える環境でよかったと心から思いました。
特に、ベテランの先生が相手だと
教員同士のチェックが甘くなる
ケースもあるようで…
絶対ダブルチェックすべき!
美術の成績ってどんなふうにつけてるの?
学校によるところもありますけど、評価の付け方の一例を見ていきますね。
実技と記述の比率は決まっている
実技40:記述テスト40:平常点20
たとえばこんな感じで、実技課題や記述テストを100点満点に換算する場合の割合が決まっています。
(100点満点に換算した後の点数を、評点と言います)
上の割合の内訳は全国共通というわけではなく、あくまで一例です。
公立の場合は高校入試の内申書の兼ね合いで、自治体によってある程度割合が指定されている場合もあるのかもしれません。
わたしの勤務先は教科ごとに割合を決める方式でした。
ちなみにわたしの勤務校では、
美術は記述テストなしでした。
実技80:平常点20でしたよ。
評点が低すぎておかしい例
実技40:記述テスト40:平常点20
もし仮にこの割合なら、極端な話をすれば記述テストが100点なら評点40点は確保されます。
平常点というのは授業態度や忘れ物になると思うので、これが問題ないとなれば60点は堅いといえます。
それなのにたとえば評点が48点とかってことになると…
「低すぎる、実技点どこいった?」となるわけです。
可能性としては
- 自分で思うより授業態度が悪かった?
- 自分で思うより実技で力不足だった?
- 名簿が近い子と点数が入れ替わった?
こんなことが考えられるわけです。
1と2であれば、どういう部分で減点されてしまったのかが具体的に分かれば、今後の改善・反省につなげることができますよね。
あとこれ、意外とあるのが…
「親に言っていなかっただけで
実はマンガを没収されていた」
なんてことが、問い合わせにより
バレるというパターンです;;
3であれば先生のミスですから、訂正されるべきです。
実技の点数に疑問がある場合は?
実技課題の採点方法については複雑なので別の記事に詳しくまとめていますが、ざっくり言うと「何の力を測るための課題なのか」が先生と生徒で共有されていない場合に、成績に関する違和感が生じるようです。
たとえば絵の具のスキルを見る題材で、色鉛筆で描かれちゃうと困るんですけど…
生徒からすれば「こんなに素敵に描けたのになんでダメなの!?」と疑問を持つわけです。
たとえるなら「跳び箱のテストで走り幅跳びをしたら、どれだけいい記録でも成績は低くなるよね」ということなのですが、これがどうやら美術・芸術分野となるとしっくりこない人が多いようです。
意外と美術部の生徒なんかが
「評価が下がってもいいから
好きに描きたい!」といって
評価規準を無視することも…笑
わたしは生徒や保護者に誤解を与えないために8つの工夫をしていましたよ。
日々の工夫に加えて、複数教員で実技の採点をするというところもポイントでした。
すべての学校で実行できることではありませんが、生徒たちにも「わたしだけじゃなくて、他の先生と一緒に作品を見るよ」とはっきり伝えていたんですよね。これで評価に客観性が出ます。
「評点」が高くても、「評定」は低いこともある
評点と評定では勝手が違う部分もあるので、結果に納得しづらいのかもしれません。
評定の人数枠は決まっている
自治体によるので一例にはなりますが、5段階評定は相対評価で学年で人数枠が決まっているという場合が多いです。高校入試の兼ね合いですね。
- 評定5…5人
- 評定4…10人
- 評定3…33人
- 評定2…10人
- 評定1…2人
2クラス想定で、たとえばこんな感じ。
決めておかないと、A学校には
極端に5が多い…なんてことに
なりかねないからですね。
85点の五段階評定、いくつだと思う?
ここで、あなたの評点が85点だとします。
高いように思えますよね。
でも評定の人数枠に当てはめると…
- 評定5…5人
- 評定4…10人
- 評定3…33人
- 評定2…10人
- 評定1…2人
もし90点台が6人いたら、90点台の中で一番低い子は評定5がもらえず4になります。
89〜86点までに9人いれば、もうそれだけで評定4の枠は埋まってしまうのです。
結果、85点でも評定3ということが起こり得ます。
評点が高くても、評定は低いこともあるんですね。
場合によりますけど、
評定3はすごく幅広く
なりやすいです
同点だった場合は?
同点が複数人いる場合もあり得ます。
その際には評定の人数比率を変える、同点の中でも評点算出の際の小数点以下まで見て優劣をつける、などの方法があります。
学校や先生側に問題がある場合も…
これはあまり考えたくないことですが、学校や先生側が問題を抱えている場合があります。
授業担当の先生の説明が不十分
どういったところを評価するのか、記述と実技の割合はどうするのか…といったことは、本来であれば課題の説明時に明らかにされるべきです。
もしあなたがそれを知らない場合は、あなたの教科担当の先生は成績の付け方をオープンにしていないもしくは先生の説明が不十分なのかもしれません。
成績の付け方をオープンにしていないっていうのはわたしの勤務校だと考えられないことでしたけど、学校によっては良しとしてしまっている場合もあるのかも?
説明が不十分という点についてはあなたが授業中の説明を聞いていなかったという可能性もありますが、元教師という立場から言えば、厳しいようですが相手(生徒)に伝わっていない時点でそれは説明していないも同じなんですよね。
- 授業プリントに明記する
- 授業開始時に毎回確認する
- 勘違いしてそうな生徒には個別に説明する
聞き逃した生徒や欠席した生徒が困らないようにということも含め、いろいろと対処方法はあるはずです。
成績について相談することで、
授業担当以外の先生たちから
「あの先生のことサポートしよう!」
と思ってもらえるかもしれませんね…
成績処理が苦手な先生もいる
もしかしたらあなたの教科担当の先生は、成績の付け方について困っているのかもしれません。
なんというか言い方が難しいのですが、すべての先生が成績処理に長けているわけではないっていうのはあると思うんですよね…
これは美術に限った話ではないんですけど、どうしても副教科は各校に1〜2名しか先生がいない場合も多いので、先生同士が成績について相談したり、採点技術を身につけたりする機会が少ないという課題を抱えています。
あと単純にExcelなどによる表計算がすごく苦手な先生も、少なからずいらっしゃいます。
教えるのは好きだけど評価は苦手な
先生は一定数いるんですよね…
副教科の教員は評価を学ぶ機会が
少なくなりやすいんです…
とはいえそれは生徒や保護者からしたら「知らんがな」という話であって、学校内の先生同士で何とかすべきことです。
全国的な教員不足で先生の方も成績処理に四苦八苦しているのかもしれませんが、生徒や保護者が不安に思う状況っていうのはよくないですよね><
先生のえこひいきの可能性は
「えこひいき」ってよく聞くんですけど…
「あの子は先生のお気に入りだから点数高い」みたいな話ですよね。
先生と接する機会が多い子は課題説明をよく聞いているから評価が高くなる作品を生み出しやすいというのは、一つ言えるかもしれません。
実際に働いていた身からすれば贔屓をするなんてあり得ないと思ってしまいますけど、残念なことに過去にはこんな漏洩事件もあったことはお伝えしておきますね。
こんな先生もいるんだなー……
って感じです…
モンスターペアレンツだと思われない言い方
ここまでいろいろと書いてきましたが、やはり学校や先生によって状況が様々あると思うので、教科担当の先生に理由を尋ねるのが一番です。
そうはいっても「成績が低かった理由を知りたい」と先生に尋ねることで、学校側からいわゆるモンスターペアレンツだと思われてしまうのではないかと不安な保護者の方もいらっしゃるかもしれません。
わたしとしては、こんな感じで成績の内訳を冷静に確認する分にはまったく問題ないと思います。
- 「成績が低かった理由を知りたい」
- 「減点された部分を知りたい」
なんなら、これは「成績が高かった理由を知りたい」でもいいですよね。次の学期にも生かせますし。
ただ…
次のような言い方をされてしまうと、教師側としては正直困ってしまいます。
- 「△△ちゃんより点数を上げてほしい」
- 「□□点以上ないと受験に響くから困る」
これではそもそも話が変わってしまっていますよね。
理不尽なクレームだと受け止められてしまう可能性がありますので、先生に尋ねたいことはあくまでも「成績が低すぎる理由を知りたい」という内容だったことを念頭に置いて、冷静にお話ししてくださいね。
何が本来の目的だったのかを
見失わないようにしてくださいね
おわりに
今回は、「美術の評価がおかしい」と思った時に生徒や保護者にできること、そして成績が低い原因として考えられる可能性をご紹介しました。
教科担当の先生に理由を尋ねるべき!
とにかくこれに尽きます!
先生のミスや説明不足なのか生徒本人の力不足なのか、どうしても気になりますが、これは確認しないと分からないことですからね。
もし教科担当の先生だけでは埒が明かない場合は、担任の先生や教頭先生にも相談して、間に入ってもらうのも選択肢になるでしょう。
悩んでいても原因はわからないので
生徒からでも保護者からでも、
先生に尋ねてみるのがいいですよ!
この記事が、美術の成績が低くておかしいと感じる人にとって少しでも手助けになると嬉しいです。
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