こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。
廃止に向けた検討が進んでいた教員免許更新制ですが、5月11日に可決された法改正により正式に廃止が決定しました。
これから更新を迎える予定だった人の中には「更新しなくてよくなってラッキー♪」という人もいらっしゃるかもしれませんね。
一方で、これまでに失効してしまった免許を持っている人にとっては、失効したままなのか復活するのか、気になっているのではないでしょうか。
この記事では「有効期限を過ぎた免許」がどうなるのかについて、文科省HPの改正教育職員免許法施行後の教員免許状の取扱いについて(周知)の内容を噛み砕きながら詳しく解説していきます。
この期限切れの免許…
放っておいていいの?と
疑問に思いますよね
ご自身がお持ちの教員免許の取り扱いについて気になる方は、ぜひ最後までご覧くださいね。
失効した教員免許は復活できる?
先に結論を書いてしまうと、更新せずに失効したままの教員免許を復活させることが可能です!
更新講習のために時間もお金も使った身としては、今回のように簡単に復活できてしまうという結果には複雑な思いですが…
決まったことなので仕方ないですね;;
ただし持っている免許状によって手順が異なりますので、ここから詳しく見ていきますね。
旧免許状か新免許状かで復活方法が変わる
失効した免許の復活方法は、あなた自身が旧免許状所持者か新免許状所持者かによって変わります。
区別のポイントは初めて教員免許を取得した日がいつなのか?です。
旧免許状か新免許状かの確認方法
2007(H19)年6月の改正教育職員免許法の成立により、2009(H21)年4月1日から教員免許更新制が導入されました。
この教員免許更新制が導入される以前に初めて教員免許状を取得した人を指して旧免許状所持者と呼び、2009(H21)年4月1日以降に初めて教員免許状を取得した人を指して新免許状所持者と呼びます。
旧 免許状 | 新 免許状 |
---|---|
2009(H21)年3月31日 までに初めて取得 | 2009(H21)年4月1日 以降に初めて取得 |
2つ以上の免許を所持している場合の注意点
注意点として、2009(H21)年3月31日以前に初めて免許を取得した旧免許状保有者が更新制導入後に新たに他の免許状の授与を受けた場合は、新たに授与された免許も含め旧免許状所持者として取り扱われます。
免許状ごとに新・旧が定められているわけではなく、所持者ごとに新・旧が定められており、ひとりの人間が新・旧免許状を両方保有することはないということになります。
たとえば2009(H21)年3月31日以前に中学校教諭免許状を取得して、2009(H21)年4月1日以降に新たに小学校教諭免許状を取得した人の場合には、初めて免許を取得したのは2009(H21)年3月31日以前であるから旧免許状保持者になるんですね。
初めて免許を取得した時が
いつなのかによって、
新・旧が決まります!
その後に所持する免許が増えていようがいまいが、「教員免許状を初めて取得した時には、まだ更新制なんてなかったよ」という人が旧免許状所持者ってことですね。
ちなみにわたしは2012(H24)年3月に初めて免許を取得しましたので、新免許状保持者です。
旧免許状保持者の失効した教員免許の復活方法
現職の場合(失効)
2009(H21)年3月31日以前に初めて教員免許状を取得した旧免許状所持者で施行日前に有効期限を超過した教員免許状を持っている場合、現職であれば免許は失効扱いになります。
失効した免許は都道府県教育委員会に再授与申請手続を行うことで有効期限のない免許状の授与を受けることが可能です。
再授与申請手続に必要な書類等については、各都道府県教育委員会が定めています。
ややこしいのですが「現職」かどうかの判定時点は有効期限の日現在ですので、施行日現在は退職している場合も含むようですね。
「現職」には有効期限の日現在に産前・産後休暇、育児休業、介護休業、病気休職等、休暇、休業、休職中の人も含みます。
有効期限の日に退職した教員については、定年退職者であれば「現職」、自己都合退職や勧奨退職者であれば「非現職」の扱いとなります。
非現職の場合(休眠)
2009(H21)年3月31日以前に初めて教員免許状を取得した旧免許状所持者で施行日前に有効期限を超過した教員免許状を持っている場合、非現職であれば免許は休眠扱いになります。
休眠した免許は手続なく、自動的に有効期限のない免許状となります。
実は現職ではない人の免許は失効ではなく休眠という表現になり、自動的に復活します。
有効期限の日に退職した教員については、自己都合退職や勧奨退職者であれば「非現職」の扱いとなるということですから、自動で復活するんですね。
休眠免許・ペーパーティーチャーという表現
この休眠という表現は、教員免許更新制の時代にも使われていました。
「教員免許を必要としない職に就いていて、かつ今後も教員になる予定はない人」には更新講習の義務がないとされ、有効期限を経過しても免許状は失効せず、免許管理者に免許状を返納する必要もありませんでした。
この状態を休眠と表現していたんですよね。
その後なんらかの理由で教員採用内定を得るなどして受講対象者になった場合は回復作業が必要でしたが、ずっと休眠させたままの免許状を持っている人も多くいらっしゃるようです。
ちなみに回復の例としてはこんな感じでした。実質的な内容としては更新講習とほぼ同じですね。
公式回復申請の手引き:東京都教育委員会
文科省ではこの休眠免許を持つ人のことを指して「ペーパーティーチャー」と呼んでいるみたいです。
ペーパーティーチャー?
ペーパー教師?
初めて聞きました…
休眠免許について、法改正でどうなるんだろう?とは思っていましたが、まさか何の手続きもなく自動的に復活するとはびっくりしました;;
「教員免許状を初めて取得した時には、まだ更新制なんてなかったよ」という人が旧免許状所持者ですから、休眠免許を持つ人にとっては元に戻ったって感じでしょうか。
新免許状保持者の失効した教員免許の復活方法
2009(H21)年4月1日以降に初めて教員免許状を取得した新免許状所持者で、更新せずに失効した免許を持っている場合は、現職・非現職にかかわらず都道府県教育委員会に再授与申請手続を行うことで有効期限のない免許状の授与を受けることが可能です。
新免許状所持者の場合は旧免許状所持者とは異なり、「現職」「非現職」にかかわらず失効という扱いになり、復活には再授与申請が必要となります。
放っておくだけでは、
その免許は使えません!
再授与申請手続に必要な書類等については、各都道府県教育委員会が定めています。
教員免許の再授与申請手続に必要な書類等について
必要書類として、文科省では次のような例を上げています。
- 申請書
- 学力に関する証明書(学位と単位の取得・修得状況確認)
- 介護等体験証明書(小中学校教員に必要な体験実施状況)
- 戸籍抄本・謄本(原簿に登録するための氏名・本籍地の確認用)
- 宣誓書(免許授与の欠格要件に該当しないことの確認)
いくつかの都道府県教育委員会のHPを見てみましたが、この記事を書いている今(2022年5月)はまだ具体的な必要書類や費用に関する記載はありませんでした。
書類の準備をするためには
それなりに手間がかかりそうな
ラインナップではありますね
法改正が施行される7月までに自治体ごとに整理され、周知されていくものと思われます。
分かり次第、追記しますね。
追記(8/1):免許状記載の「根拠規定」や教育委員会によって書類の数が大きく変わることが発表されましたので、必要書類や手続きについてまとめた記事を別途書きました。
まとめ
今回は「有効期限が過ぎた教員免許」の復活方法について、新免許状と旧免許状に場合分けしながら取り扱いを紹介しました。
- 休眠した免許(旧免許状保持者)
→自動的に復活 - 失効した免許(新免許状保持者)
→再授与申請手続きをすれば復活
教員免許更新制度は時間もお金も多くかかる上に、制度の仕組みがなかなか複雑で、更新を忘れてしまう人や手続きを終えずにうっかり失効してしまう人、病気や定年を理由に更新を諦めてしまう人が多くいると言われていました。
そうして教員免許所持者が減ることで定年後の再雇用や産休代理の担い手が減少し、なり手不足もまた問題視されていたわけですが、今回の改正教育職員免許法施行、つまり免許復活によりいったいどれだけの人が教壇に戻るのかな?という部分に注目が集まりそうですね。
なお、今回の記事は2022年5月16日現在の情報をもとに作成しています。
今後運用が変わる可能性がありますので、ご自身で最新の情報をご確認くださいね。
公式お知らせ:文部科学省
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