こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。
- 美術室にどんな本を置けばいいか分からない
- 生徒用資料として役立つ本を知りたい
- 生徒へ説明する際の教師の補助として役立つ本を知りたい
- 免許外教科担任・臨時免許で美術を持つことになって困っている
こんな方におすすめの記事です。
著作権の都合上本の中身を載せられないのが残念ですが、授業や部活で使える生徒用資料の一例として、これから先生を目指す人や現役の美術の先生、免外や臨免で美術を担当している先生方にも役立ててもらえると嬉しいです。
今回は衣装やファッション小物など、作品の登場人物を彩るものにまつわる本をご紹介します。
現実的な服や小物については生徒自身が好きなファッション誌の切り抜きを持参することもありましたので、学校としてはファンタジー寄りのものや海外の服装など、生徒自身が用意しづらそうなものを資料書籍に選ぶようにしていました。
衣装・服装
世界の民族衣装の写真集
民族衣装をまとった世界の子どもたちが生き生きと過ごす様子が、88か国分も掲載されています。
大きな写真で載っているので衣装の細部まで分かりやすいです。
解説文もありますが、小さな文字で写真を邪魔しないように書かれている点も使いやすい一冊でした。
こちらはファッショナブルな民族と呼ばれる、スリ族を撮影したヨシダナギさんの写真集です。
植物を身に纏うという発想や独特の色彩感覚に「なにこれすごい!見たことない!」と驚く生徒がいましたし、表現の殻を破る手助けにもなりました。
メルヘンな衣装デザインカタログ
レースやフリルのふりふりした、メルヘンでかわいい衣装がたくさん載っています。
ただかわいいだけではなく例示が部位別に細かく描かれているところが特徴で、たとえば《胸元のリボン》だけでも20種類以上あります。
「わたしが考えてた衣装って、いつもワンパターンだったかも…」と気付かせ、生徒の思考のバリエーションを広げてくれる一冊でした。
バレエ・キャラクター事典
バレエを習っている生徒が多い学校でしたので、「この物語のこの役を演じたことがある」という思い出から作品テーマを設定する機会を頻繁に目にしていました。
バレエでよく扱われる物語についてポーズと衣装が両方載っているこの本は、指導する側としてとても助かる一冊でした。
装飾品・ファッション小物
シューズにこだわったイラスト集
800点近くの豊富なカラー図版を用られており、古代から現代までのあらゆる種類の靴の変遷をまとめた靴だけのイラスト集です。
古代エジプトやルネサンス期といった昔の靴もあるので、ファンタジーの世界を描きたい生徒にもよく読まれていました。
そもそも足を描くこと自体がかなり難しいので、靴のデザインのアイデアまで…となると心が折れてしまいそうになる生徒が多いので、よい支えになってくれた一冊でした。
かごとインテリアの本
静物画として果物を入れて描きたいとか、赤ずきんちゃんを描きたいとか、カゴってモチーフとして意外と求められることが多いんですよね。
編み目が難しいということもあり、なかなか想像では描きづらいしこちらとしては説明もしづらいので、この本には助けられました。
自然な風合いの茶色(黄土色)の混色の参考にもなっていました。
楽器のしくみ
音楽系の部活動が豊富にあったこともあり、楽器をテーマに選ぶ生徒が一定数いました。
あまりに専門的すぎる本や楽器の入門書のようなものだと文章が多くなると思うのですが、この本は文章よりも写真が多いのも美術室的には助かるポイントでした。
少し小さめの本なので、描く時に開いたままにしづらい点が惜しいです。
かわいい刺繍の模様・キャラクター・レタリング
ファッションに関する資料としてピンとこない感じがするかもしれませんが、衣装や小物に刺繍された模様として使ったり、背景の壁紙や絨毯の模様として使ったりと、意外と読まれていました。
この本は結構奥が深くて、民族学にも通じるような一冊です。
こちらは動物や人魚姫など、かわいい形がたくさん載っています。
刺繍としてだけではなくてデフォルメキャラクターの参考として読む生徒もよく見かけました。
こちらはレタリングの参考になる本で、ロゼットやエンブレムに囲われた文字もあり、漫画を描く生徒が校章やチームの紋章のようなものを考えるときにも役立っていました。
和装・着物・和グッズ・和柄
『るろうに剣心』『犬夜叉』『ちはやふる』『鬼滅の刃』など、和風のモチーフって巷でも常に話題になりますよね。作品のテーマとしても、よく選ばれていた分野です。
きものの描き方
着物姿の女性を描いたイラストが、たくさん例示されています。男性も載っていますが少ないです。
指導する側としても大いに助けられた一冊でしたが、もともと2006年に出版された本の改訂版ということで、絵柄が少し古いんですよね。
最近は需要増加のためかいろいろな《着物の描き方》の本が出版されているようなので、今から買うなら別の候補があるかもしれません。
着物と日本の色・和柄
日本独自の色の名前とその由来、その色がメインで使われた着物とが大きな写真で載っています。
眺めているだけでも美しい一冊です。
こちらは素材集ということで、着物の形とは関係なく和柄の図案がたくさん載っています。
これらの本は「和柄」として参考にする場合はいいのですが、注意すべき点としては着ている様子が載っているわけではないということです。
しわなどが寄ったときに模様がどうなるか?着物として仕立てるとどんな形になるか?などはこの本だけでは分からないので、他の本と組み合わせて見せるとスムーズかと思います。
京都の花街の写真集
『さくらん』などをきっかけに興味を持つ生徒が多く、導入した本です。
髪型や化粧について写真で細かく解説されていることや、芸舞妓さんの全身写真がいくつも載っていることがとても役立ちました。
日本刀の入門書
この本は、『刀剣乱舞』の人気から選んだ本です。
刀にもいろいろな形があることや、武将にまつわるさまざまなエピソードが紹介されており、初心者の導入用にぴったりな本だったようです。
おわりに・美術の先生としての指導上の留意点
授業中に生徒自身でネット検索ができる環境があったり、生徒自身が自宅でプリントアウトをしたりパンフレットや本などを用意することが容易な環境であれば、今回ご紹介したような資料の選び方とはまた違ってくるかもしれません。
美術の先生の役割として共通していることは、著作権に関する指導です。
本に載っている写真や絵を「自分の作品」としてそのまま描いたり作ったりしてしまわないようにという指導を欠かさないように気をつけていました。
資料はあくまでも表現のヒントであるということ、そして《自分の中から主題を生み出すこと》の大切さと尊さを伝えることが重要なんですよね。
「先輩はこの本を参考に、こんな絵を描いていたよ」と言って過去の生徒作品と書籍を照らし合わせて説明すると、《自分の中から主題を生み出すこと》が大変だけど素晴らしいということに納得してもらいやすかったです。先輩たちに感謝ですね。
この記事が生徒用資料書籍の一例として、これから先生を目指す人や現役の美術の先生、免外や臨免で美術を担当している先生方にとって少しでも参考になると嬉しいです。
他にも生徒用資料に関する記事を書いています。
ぜひあわせてご覧くださいね。
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