こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。
夏休みの宿題の自由研究や自由工作において、LINEスタンプ作りができると楽しそうですよね。
でも、何から始めればいいのか、難しそう、親からはどんなサポートが必要なのか…と不安に思う保護者の方も多いと思います。
今回はわたし自身のLINEスタンプ制作の経験をもとに、「子どもが描いたイラスト」を「スタンプとして登録」する方法について詳しく解説します。
もちろんお子さんの年齢やイラスト経験によって保護者の方の関わりがどれぐらい必要かは変わってくるかと思うので、お子さんの様子を思い浮かべながら、ぜひ最後までご覧くださいね。
保護者の方に、事前に知っておいてほしいこと
学校の宿題のルールを確認
取り組み始める前に、「LINEスタンプ作り」が自由研究や自由工作や図工・美術の宿題としてOKかどうかを先生に確認しましょう。
と言うのも、「絵の具を使った絵」「牛乳パックが使われた工作」などルールが設けられている場合もあるんですよね。
特に夏休み明けに学校の図工展覧会などがある場合は、作品テーマが決まっていたり、色鉛筆や絵の具で描かれたアナログな作品でなければ難色を示されたりするかもしれません。
いざデジタルイラストが完成した後になって「パパがスタンプでも大丈夫って言ったんじゃん!」というような喧嘩にならないように、プリントを親子で一緒に見たり、不安であれば学校に電話で確認したりしてもいいと思います。
アナログが必須の場合の対策
LINEスタンプは、いわゆる「お絵かきソフト」で描くデジタル作品でも登録できますし、アナログで描いた作品をスキャンして登録することも可能です。
つまり色鉛筆や絵の具で描いた絵をスタンプにすることもできるんですよね。
これなら、もしアナログ作品でなければならない…というハードルがあってもクリアできます。
他には、デジタル作品であってもスタンプを紙に印刷して、販売されるまでの過程をレポートとしてまとめて冊子として提出する方法もあります。
この場合もアナログ作品と言えますが、自由“工作”というよりは“研究”感が増しますので、もしかしたら図工の宿題としてであれば認められない…かもしれません。
また、少数ではあると思いますが、先生自身のスタンプやデジタルに対する知識不足によって、全面的に却下されてしまう可能性も少なくはありません。
努力を正確に評価してくれないかもしれませんし、それこそ必死に制作した後に却下されると悲しすぎるので、様子が怪しそうであれば「LINEスタンプ作り」は避けるのも賢明な判断かもしれません…;;
既存のキャラクターに似すぎないようにする
既存のキャラクターを彷彿とさせるデザインだと、著作権や商標権の関係でスタンプ化出来ない可能性があります。
小学生の子どものイラストはどうしても見たことがあるキャラクターの絵に引っ張られやすいので、アイデア出しの段階で、ある程度保護者の方が誘導しておくとスムーズかと思います。
「これピカチュウに似てない?」
という言い方だと角が立つので
「この耳、丸い方がママは好き〜」
ぐらいの誘導がおすすめです。
でも似すぎていると却下されます…
LINEスタンプ作りの手順
大まかに言えばこのような行程で進んでいきます。
- STEP①スタンプの絵を描く
- STEP②LINEクリエイターズマーケットに登録する
- STEP③タイトルや説明文を決めて審査を受ける
- STEP④審査合格後、販売開始
STEP①だけだと自由“工作”寄りで、自由“研究”としては少し弱いかなと思います。
STEP②・③のスタンプ作家としての登録作業はややこしい部分もありますが、自由研究の場合はそれも含めてしっかり“研究”をして、ぜひSTEP④まで頑張ってチャレンジしてほしいですね!
「スタンプ用の絵を描くこと」が軸
→自由工作・図工や美術の宿題
「実際にスタンプ化すること」が軸
→自由研究
って感じがします!軸を決めよう!
①スタンプの絵を描く
LINEスタンプの規定
制作にあたって最低限気をつけるべき点を簡潔にまとめると、こんな感じです。
- サイズは横370px × 縦320px以内
- 8/16/24/32/40個のいずれかで1セット
- 日常会話やコミュニケーションで使いやすい内容のもの
- 公序良俗(モラル)に反しないもの
- 第三者の著作権や商標権を侵害しないもの
LINE公式にスタンプ作成ガイドラインのページがあるので、描く前に親子で一緒に読んでみることをおすすめします。
なぜこんなルールがあるのか?なぜこの表現は禁止されているのか?と考えることは、デザインが世の中に与える影響を知るという大きな学びにもなりますよ。
一緒にガイドラインを読みながら、
「こんなスタンプがあったらいいな」
「こういうスタンプなら使いたいな」
とアイデアを引き出していきましょう!
登録に必要な個数は8の倍数になっていますが、個人の制作であれば8もしくは16個の完成を目指すのが現実的です。イラストを仕上げるって、アイデア出しも描く作業もすごく大変ですからね。
「△月中にアイデアが○個たまったら、スタンプを自由研究にしようね」と決めるのも一つだと思います。
何を使って描く?
まずはスタンプの絵を描くところからですよね。
- すべてアナログで描く
- 線画だけアナログで描く、着色はデジタルで
- すべてデジタルで描く
ざっくり分けると、この3パターンになります。
アナログで描く場合はスキャンもしくはスマホ等の写真撮影を介して、タブレットやパソコンにデータを入れます。
その後のサイズや明るさの調整のためにも、何か一つ「お絵かきソフト」があると便利です。
わたし自身はスタンプ作成にCLIP STUDIO PAINT PRO (通称クリスタ)を使用していますが、アナログで描いたラフスケッチを写真に撮ってパソコンに入れて、残りはデジタルで描いていますよ。
デジタルで描きたい場合はマウスだとかなり大変なので、ペンタブがあるととても便利です。
こちらのOne by Wacomは初心者向けモデルで、CLIP STUDIO PAINT PROの3ヵ月ライセンスが付いていてお試しに最適ですよ。
とはいえ、アナログ作品のサイズ調整程度であればクリスタの無料体験版だけでも十分対応できますし、Macの「プレビュー」機能でもサイズ調整・明るさ調整は可能です。
Windowsの「ペイント」も意外と使えるんですよね。
ただ、そもそもスタンプ作りに取り組もうとしているということはイラストを描くことに興味があるお子さんである可能性が高いと思うので、その意欲を大事にして、この機に思い切ってお絵描きソフトを買ってしまうのもいいと思います!
ひとまず無料ソフトで始めてみて、
もっと描きたい!楽しい!となれば
クリスタなどのソフトやペンタブを
追加で買うのもアリですね♪
クリスタは2023年のアップデートで購入方法がややこしくなってしまったのですが、常に最新版にする必要がないのであればCLIP STUDIO PAINT PRO (Ver.2.0買い切り版)は5,000円で購入可能です。
クリスタのサブスク版・買い切り版など詳しく違いを知りたいという場合は、別の記事で解説していますのでご覧くださいね。
制作過程・うさぎ先生の場合
一例として、わたしの制作過程をご紹介しますね。
ざっくりした手順はこんな感じです。
- ノートにペンでラフを描く
- ポーズを選び、スキャンか写真でPCに
- 線画を描く(ここからクリスタを使用)
- 着色をする
- 文字を入れて完成!
ラフと線画を重ねて表示するとこうなります。
アナログの時点でもっときっちりした線で描いておけばスキャン後にそのまま線画として使用することも出来ますが、線画以外の部分が透過できない場合はうまくいかないこともあります。
キャラクターの着色後に効果などを描き、「背景を黒一色にしたい」など特別な理由がある場合以外は背景は透過させます。
文字はテキストツールで入れることも出来ますし、自分で手書き文字にしてもいいですね。
最後はpng形式で保存して完成です。
クリスタでデータを作る場合の便利な機能については別の記事に詳しくまとめています。
「事前に知っておくと便利なこと」を
お子さんにあらかじめ見せるかどうか
保護者の方がご判断くださいね。
自由研究としては、不便を知ってから
進める方がやりやすいかも…
②LINEクリエイターズマーケットに登録する
LINEクリエイターズマーケットでいいかどうか確認
「LINEクリエイターズマーケット」は、お絵かきソフト等で描いたイラストを使ってスタンプの作成・申請・販売が可能になるwebページです。
公式LINE Creators Market
ここにスタンプ作家として「クリエイター登録」してから、スタンプを随時登録していくというのが基本的な仕組みになっています。
似ているものに「LINEスタンプメーカー」がありますが、こちらはペットや自分の写真をもとに簡単にスタンプを作成できるほか、簡易なイラスト機能もついているスマホアプリです。
あらかじめ搭載されたフレームやステッカーでデコることも可能なので、極端なことを言えばオリジナリティが少なくても成立するんですよね。
- 自分で描いたイラストを使いたい!
→「LINEクリエイターズマーケット」 - 写真をデコる程度でいいかな…
→「LINEスタンプメーカー」
実際に、わたしの親戚(小学生)は「LINEスタンプメーカー」で愛犬の写真を使ったかわいいスタンプを作っていました。自由研究や宿題としてではなく趣味としてですけれどね。
1からイラストを描いて作るなら
「LINEクリエイターズマーケット」で
進めていくことになります!
ここから先は「LINEクリエイターズマーケット」での登録を前提として解説を進めていきますね。
LINEアカウントが必要
「LINEクリエイターズマーケット」に登録するためには名前や住所の登録はもちろんのこと、LINEアカウントとの連携が必要なんですよね。
以前は連携不要だったという話も
あるようですが…
2023年6月現在は必須条件です。
未成年のLINEアカウントでも登録可能ですが、売上金の管理などを考えると保護者の方のLINEアカウントを使って登録したほうが便利そうです。
ただ作者名(クリエイター名)は1アカウントにつき一つだけになるので、もし保護者の方がすでにスタンプ作家である場合は同じクリエイター名になるという点には注意が必要です。
お子さんが今後クリエイター・イラストレーターとして活躍していく可能性がある場合は、お子さん自身のアカウントにしておいたほうが活動実績として残すことができるのでいいかもしれませんね。
ちなみにスタンプを買う人に作者のLINEアカウントがバレてしまうことはありませんので、その点はご安心ください。(そうでなければ、本職がイラストレーターの方などはLINEを全世界に公開していることになりますからね…!)
売上金の振込用口座
LINEスタンプの売上は、銀行振込またはLINE Payで受け取ることが出来ます。
120円(50コイン)のスタンプが売れた時に作家の手元に残るお金は売上のうちの約31円で、これを分配額と呼びます。
スタンプが売れるたびにお金がもらえるわけではなくて、この分配額が1,000円以上になると受け取りの申請ができるという仕組みになっています。
ですので、分配金が999円までの時には収益を受け取ることが出来ないんですよね。
1000円を超えるためには、
120円(50コイン)で31円なので
33個以上売る必要があります…
その上、銀行振込の場合は送金手数料が495円かかってしまいますので、巨額の収益を思い描いてスタンプを作ろうとすると期待外れな結果になってしまうかも…。
売り上げが少なかった時のフォローの言葉を考えておいてくださいね;;
振込用口座が未登録でもスタンプ販売は可能なので、収益が出てからの口座登録でOKですよ。
登録していても口座に自動的に振り込まれるわけではなく、1,000円を超えた状態で送金申請をすることで支払われます。
③タイトルや説明文を決めて審査を受ける
登録したいスタンプセットのタイトルや説明文を入力します。
タイトルは半角40文字まで・説明文は半角160文字までになっていて、英語版が必ず必要です。
日本語は「言語を追加」でJapaneseを追加することで記入欄が出てきます。
わたしは先に日本語でタイトル・説明文を書いてから、Google翻訳で英語にしましたよ。
英語が得意なお子さんなら、このあたりは自力で挑戦させてみてもいいかも!?
そのほかに販売地域などを設定しますが、日本のみにしておくと審査が早い&通りやすいです。
それに、販売エリアや国を増やせば増やすほど、ポーズや言葉の表現が適切かどうかの審査に時間がかかってしまうんですよね。
申請については他にもタグ設定やスタンプシミュレーターなどいろいろと知っておくと便利なことが多いので、実際の様子を写真付きで詳しくまとめたこちらの記事をぜひご覧くださいね。
④審査合格後、販売開始
リジェクトになることもある
スタンプに問題がある場合はリジェクトというお知らせが届きます。いわゆる不合格ですね。
たとえばスタンプのタイトルやデザインが既存のキャラクターと類似するという判断になってしまったり、不適切となる表現が含まれてしまっていたりする場合にリジェクトを受けます。
以前は背景の透過処理不足や塗り残しであってもリジェクトになっていたそうですが、最近はスタンプの申請数が増えすぎているからか、そういった作画上のミスは指摘してくれないことになったみたいです。
指摘してもらえるからと甘えずに、
自分の目で仕上がりの確認を
しなければならないんですね!
わたしは初めてのスタンプを作った際に、うっかり消し忘れがありました;;
スタンプはリリース後の画像差し替えができないので、「修正版」を出すことになってしまいましたよ…
申請にかかる日数
申請後、審査には3日〜1週間程度かかります。
新規クリエイターや新規シリーズだと著作権の確認に時間がかかるので、審査が長めになります。
わたしは同じシリーズで第2弾以降を申請した際には、当日〜3日ほどで審査が終わりましたよ。
宿題のタイムリミットには
気をつけてくださいね!
スタンプを自分で使う場合も購入する
クリエイターはあくまでもLINEのサービスを使わせてもらっている立場になるので、たとえ自分で描いたスタンプであっても、自分も「購入」しなければ使えないんですよね。
前述のように120円(50コイン)のスタンプが売れた時の分配額は約31円ですが、残りのお金はLINEに支払っているということです。
スタンプを作者の家族や周りの人だけに無料であげるということもできません。
(自分で買って「プレゼント」することは可能です)
自分のスタンプを友達が買ってくれた・買ってくれなかったというトラブルにならないように、気をつけてあげてくださいね。
おわりに・まとめ
今回はお子さんの夏休みの宿題の自由研究や自由工作のテーマとしてLINEスタンプ作りを考えている保護者の方向けに、LINEスタンプを作る方法についてご紹介しました。
大まかな流れはこちらでしたね。
- STEP①スタンプの絵を描く
- STEP②LINEクリエイターズマーケットに登録する
- STEP③タイトルや説明文を決めて審査を受ける
- STEP④審査合格後、販売開始
アカウント連携や銀行口座関係の作業もあるので、②③は特に保護者の方のサポートが必要です。
「どんな色がいいだろう?」「どうすれば線がきれいになるのかな?」と調べたり試したりしながら描き進める経験が出来てとても勉強になりますし、仕上がった時の大きな達成感につながりますよ。
保護者の方はヤキモキする場面もあるかもしれませんが、せっかくの夏休みの宿題ですしお子さんが自分で調べて研究することも大切なので、見守りつつ一緒に取り組み、スタンプ作りを楽しんでいただけたらいいなと思っています。
今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです!
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