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教員免許が失効したらどうなるの?一から取り直し?履歴書にも書けなくなるの?

教員免許失効更新忘れて取り直し単位どうなる 教員免許制度
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こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。

2007(H19)年6月の改正教育職員免許法の成立により、2009(H21)年4月1日から教員免許更新制が導入されてから10年以上が経ちますが、何かとややこしい制度ですよね。

  • 失効したら、二度と教壇には立てないの?
  • 失効した後にやっぱり先生になりたいと思ったら、また大学に行くの?
  • 文科省HPを見たけど、自分がどの部分に該当するのか分からない

こんな疑問を持っている方向けの記事です。

おそらくこの記事をご覧の方は、一度は文部科学省HPを訪問しているかと思います。
文科省HPって書いてあることが多すぎて……
自分に関係するページにたどり着くまでが、正直分かりにくいんですよね。

そこで、この記事では適宜この内容は文科省HPのここに載っています」というリンクを貼っています。必要に応じて照らし合わせながらご覧いただくとスムーズかと思います。

ご自身の教員免許が失効したらどうなるのかを知りたい方は、ぜひ最後までご覧くださいね。


教員免許更新制2022年7月1日に廃止となります。
こちらの記事は更新制がどのように運用されていたのかを知る手がかりとして、当時のままの内容で残しておくことにしました。

更新制廃止後教員免許の失効・休眠・復活については↓の記事で紹介しています。

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失効しても、再授与を受けることができます

結論から言うと、失効後に教員免許が必要になった段階で講習を受講・修了して授与の申請をすれば、新たな免許状の授与を受けることができます

免許状が失効した場合でも、免許状を取得した際に授与の基礎となった教職課程の単位までは無効になりません。免許状授与のための所要資格を満たしていれば、30時間以上の更新講習を受講・修了し、都道府県教育委員会へ免許状授与に必要な書類を添えて免許状の授与を申請することにより、新たな有効期間が付された免許状の授与を受けることができます。
 なお、旧免許状が失効した場合、新たに授与される免許状は有効期間の付された新免許状となります。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/001/1315322.htm

失効した場合であっても、免許状を取得した際に授与の基礎となった教職課程の単位までは無効にならないので安心してください。
公式 【7】失効・再授与についてQ&A:文部科学省

ただし免許状の失効返納については、あなたが新免許状所持者旧免許状所持者かで色々と変わってきますので、詳しく見ていきますね。

まずは自分自身が
なのかなのかを確認!

あなたはどっち?新免許状所持者or旧免許状所持者

教員免許状を持つ人は、免許状所持者と免許状所持者の2つに分けられます。

新免許状所持者
…2009(H21)年4月1日以降に初めて教員免許状を取得した人

旧免許状所持者
…2009(H21)年4月1日より前に初めて教員免許状を取得した人

「免許状の授与に必要な教職課程の単位と学位を取得した時点」が2009(H21)年4月1日より前なのか以降なのかで、新か旧かが分かれます。

そして、この初めてというところがポイントです。

新免許状所持者について

初めての教員免許状が2009(H21)年4月1日以降

2009(H21)年4月1日以降に初めて教員免許状を取得した人を指して、新免許状所持者と呼びます。
新免許状には有効期間満了日が明記されています。

教員免許更新制が導入された後に、初めての免許状を取得した人ということになりますね。

新免許状所持者は、免許状の有効期間満了日の2年2ヶ月前から2ヶ月前までの2年間に講習を受けて、教育委員会に修了を申請しなければ、教員免許を失効します。免許状を見れば有効期間が満了(期限切れ)していることが分かりますから、返納する必要はありません。

新免許状所持者の中に、免許を更新できない人がいる

更新講習は誰でも受けられるわけではなくて、教員免許更新制の概要にて次のように定められています。

(1)現職教員
(2)実習助手、寄宿舎指導員、学校栄養職員、養護職員
(3)教員採用内定者
(4)教育委員会や学校法人などが作成した臨時任用(または非常勤)教員リストに登載されている者
(5)過去に教員として勤務した経験のある者
(6)認定こども園で勤務する保育士
(7)認可保育所で勤務する保育士
(8)幼稚園を設置している者が設置する認可外保育施設で勤務する保育士
など

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/001/1316077.htm

新免許状所持者で「これまでに教員経験がないし今後も予定はない人」は、受講対象者ではありませんので更新することができません

「これまでに教員経験がないし今後も予定はない人」「失効したくない」場合は、少しおかしな言い方になりますが、今後教員になる可能性が高い者として扱われることを目指す必要があります。
具体的には、「教育委員会や学校法人などが作成した臨時任用(または非常勤)教員リストに登載されている者」になる必要があります。
いわゆる講師登録の必要があるってことですね。

そうは言っても、必要に応じて失効後にも再授与を受けることが可能ですから、無理をしてまで講師登録をする必要はないかな?と思います。

旧免許状所持者について

初めての教員免許状が2009(H21)年4月1日より前

2009(H21)年4月1日よりも前、つまり3月31日以前に初めて教員免許状を取得した人を指して、旧免許状所持者と呼びます。

たとえば、あなたが2009(H21)年4月1日以降2つめの免許状を取得した場合も、あなた自身は旧免許状所持者に該当します。初めての免許状を取得した時期で分類されるからです。
そして、その2つめの免許状は旧免許状所持者の持つ免許状ですから、旧免許状として扱われます。
公式【2】有効期間(修了確認期限)についてQ&A:文部科学省

一人の人が新免許状と旧免許状の
両方を持つことはないんですね。

旧免許状所持者は免許状の有効期間満了日が定められていないので、生年月日により定められた修了確認期限の2年2ヶ月前から2ヶ月前までの2年間に講習を受けて、教育委員会に修了を申請しなければ、教員免許を失効します。
でも旧免許状所持者はちょっとややこしくて……

旧免許状所持者の中に、免許講習の受講義務がない人がいる

旧免許状所持者の中には受講義務が無い人がいます。
ざっくり言うと「教員免許を必要としない職に就いていて、今後も教員になる予定はない人」です。

受講義務が無い人は、修了確認を受けずに修了確認期限を経過しても免許状は失効せず、免許管理者に免許状を返納する必要もありません。
フワッとしていますが、免許を休眠させる感じです。
公式 旧免許状所持者の更新講習について:文部科学省

ただし失効はしないと言っても、その後なんらかの理由で教員採用内定を得るなどして受講対象者になった場合は、更新講習を受講・修了していわば回復をさせなければ教壇に立つことはできません。

教員免許を必要とする場面では、結局のところ更新された免許が必要ということです。
公式 3.免許状の有効期間(修了確認期限):文部科学省

旧免許状所持者の中に、教員免許更新制の受講対象外の人がいる

昭和30(1955)年4月1日以前に生まれた人は、栄養教諭の旧免許状の授与を受けていない限り、そもそもこの制度に該当しない「初回の修了確認期限が割り振られていない者」となります。

旧免許状所持者で、昭和30年4月1日以前にお生まれの方は、平成21年3月31日以前に栄養教諭免許状の授与を受けていない限り、教員免許更新制の受講対象者には該当しません。
 その場合、最初の修了確認期限は設定されず、免許状更新講習を受講しなくても、持っている普通免許状及び特別免許状は生涯有効となります。特に必要な手続き等もありません。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/002/1314439.htm

この「初回の修了確認期限が割り振られていない者」の場合、免許状は生涯有効となります。
公式 旧免許状所持者で、生年月日が昭和30年4月1日以前の方:文部科学省

年齢的に定年ということになりますが、非常勤講師等で採用される場合に免許状が必要な場面がありますよね。そういった場合でも「初回の修了確認期限が割り振られていない者」については、更新講習を受講する必要はありません。
公式 【8】採用・失職についてQ&A:文部科学省

失効になったあと、履歴書に書いてもいいの?

履歴書等における所有する資格欄への記載については、「(更新講習未受講)」等を併記するのであれば資格の記載自体は可能とされています。
公式【7】失効・再授与についてQ&A:文部科学省

教員免許に関する失効の扱いは、免許状そのものの効力が無効ということを意味しているので、運転免許の取り消しみたいに「持っていない状態に戻る」わけではないからです。

但し、旧免許状所持者かつ現職の場合は受講義務者となり、失効してしまうと免許状を免許管理者に返納する必要があるので注意が必要です。この場合は返納と同時に失職してしまいます。
公式【7】失効・再授与についてQ&A:文部科学省

現職の先生の場合は、有効期間の延長の事由に該当すれば有効期間の延長が認められていますので、うまく利用するといいですね。くれぐれもうっかり返納・失職とならないように注意が必要です。
公式【4】有効期間の延長(修了確認期限の延期)についてQ&A:文部科学省

失効後、再授与申請の流れ

住所地の教育委員会に相談する

失効後も必要になった段階で講習を受講・修了して授与の申請をすれば、新たな免許状の授与を受けることができます

免許状が失効した場合でも、免許状を取得した際に授与の基礎となった教職課程の単位までは無効になりません。免許状授与のための所要資格を満たしていれば、30時間以上の更新講習を受講・修了し、都道府県教育委員会へ免許状授与に必要な書類を添えて免許状の授与を申請することにより、新たな有効期間が付された免許状の授与を受けることができます。
 なお、旧免許状が失効した場合、新たに授与される免許状は有効期間の付された新免許状となります。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/001/1315322.htm

教職課程の単位までは無効にならないので、教員免許の失効後にライフプランの変更などで再度免許が必要となった場合であっても、大学に入り直して一からすべての単位を取得し直す必要はないっていうことですね。(出身大学等から発行された「講習履修証明書」が必要です)

再授与を希望する人は、住所地の教育委員会に相談をします。コロナ禍もあり、相談方法を郵送やメールに限定している自治体もあるようです。
再授与を申請する流れについてはこちらの神奈川県教育委員会のHPが分かりやすかったので、一例としておすすめです。
公式 申請期限までに更新を行わなかった方 – 神奈川県ホームページ

また、再授与の申請時に必要な書類についてはこちらの大阪府教育委員会のHPがとても具体的に書かれていたので、一例としておすすめです。
公式 大阪府ピピっとネット > 教員免許更新制に関する申請手続

新課程への単位の読み替えは?

ちょっと疑問が残るなぁと思ったのは、年齢や教科によって免許取得時と現在の必要単位が異なる場合についてです。“免許状授与のための所要資格を満たしていれば”が指す部分ですね。

たとえば2019(H31)年に教職課程の変更がありましたが、文科省HPを読む限りは「旧課程を新課程に読み替える」、つまり単位を新たに取得し直す必要はないように思いました。
公式 平成31年度から新しい教職課程が始まります:文部科学省

読み替えますよ!って明記されているわけではないのであれなんですけど、一応根拠は……

教育委員会などの教員の任命権者に対しては、有効期間の満了により免許状が失効していることまたは修了確認期限までに更新講習修了確認を受けていないことのみをもって、教員採用試験において受験させないことや不合格とすることがないよう要請しています。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/koushin/001/1315341.htm

こちらの、「有効期間が満了して免許状が失効している者でも教員採用試験に合格すれば講習を受講できるのですか」という質問への回答です。

教員採用試験を受験させない・不合格とすることがないよう要請しているということは、失効中の人も教員採用試験に合格する可能性があるということですよね。

合格後に、更新講習の受講・修了に加えて新たな単位を取得って、タイムスケジュール的に現実的じゃないよなぁって思ったんですよね。年齢によっては教育実習の単位数が違う……なんて話も聞きますが、合格後にすぐ実施できるものではないですし。
公式 【8】採用・失職についてQ&A:文部科学省

文科省のHPにもう少し分かりやすく
明記されてると嬉しいのですが……

教員採用試験を目指すことを決断した時点で、なるべく時間的余裕を持って住所地の教育委員会に相談することがおすすめです。

「非違行為などによる失効」って?

実は、ここまで書いてきた「有効期間満了による失効」とは異なる失効があります。
それは「教育職員免許法第10条、第11条に基づく非違行為などによる失効」です。

身も蓋もない言い方をすれば、不祥事による免許取り上げですね。

不祥事による免許取り上げの場合はその後3年間は新たな免許状の授与を受けることができません。
逆にいうと、不祥事による懲戒免職等があった場合も「3年経てばまた教壇に立ててしまうのか」ということで、物議を醸しています。

このブログでも、以前取り上げた話題です。
「官報情報検索ツール」からの閲覧期間を現行の直近3年から40年に延長することが決まっているほか、再授与までの期間を3年から5年に延長することが検討されています。

関連 わいせつ行為で失効した免許、再交付は必要?

他の国家資格との兼ね合いや
冤罪の可能性から、
法改正は難航しているそうです

おわりに

今回は、教員免許状の失効再授与についての情報をまとめていきました。

ポイント
  • 有効期間満了により失効しても、必要に応じて再授与の申請ができる場合がある
  • 再授与の申請は、なるべく時間的余裕を持って住所地の教育委員会に相談する
  • 非違行為などによる失効(取り上げ)の場合は、3年間再授与申請ができない

運転免許の取り消しとは違ってあくまでも効力がなくなるだけなので、「(更新講習未受講)」等を併記することで履歴書等への記載は可能です。

再授与にはさまざまな書類が必要ですので、教員採用試験を目指す!と決断した時点で早めに住所地の教育委員会に相談してくださいね。

なお、この記事は2021年11月に作成しています。
今後運用が変わる可能性がありますので、文部科学省のHP等で最新の情報をご確認くださいね。
公式 教員免許状に関するQ&A:文部科学省

他にも教員免許更新に関する記事を書いています。
ぜひ合わせてご覧くださいね。

コメント

  1. 西野 より:

    はじめまして
    ブログ拝読いたしました
    教員免許の休眠状態であるのですが、とてもわかりやすい説明で、ありがたかったです

    私は、幼稚園教諭の旧免許保持者ですが、結婚前に勤務経験があるものの、結婚してからは、教員免許が必要な職に就いてないため、免許証も旧性のままで、更新せずに置いてあるだけです
    今後も教員免許を使う予定はありませんが、旧性のまま保持していても良いのでしょうか?

    • うさぎ先生 うさぎ先生 より:

      西野さん、はじめまして。ご覧いただきましてありがとうございます。
      またお褒めの言葉を頂戴し、とても嬉しいです。

      さて、教員免許状の旧姓に関してですが、「希望すれば書き換えることも出来る」というシステムであり旧姓や旧本籍地のままでも問題はない・書き換え義務はないようです。
      ちなみに書き換える場合は免許状1枚につき1000円程度と有料です…。

      もし今後教員免許状を必要とするお仕事に応募されることがあれば戸籍抄本等の提出(本人確認のため)を求められる可能性がありますが、使用予定がないということであれば、いわゆる休眠状態のままでも差し支えないように思います。

      実はわたし自身も結婚に伴い、所持する免許状に表記の旧姓と現在の氏名が異なっています。
      現在更新講習を受講真っ最中ですが、こちらは現在の氏名で受講登録しています。
      (郵便物など届かなくなってしまうため、現在の氏名の登録を求める大学等がほとんどのようです)
      更新申請手続きの時点で旧姓・旧本籍地のままになるのか、戸籍抄本等を提出してこの時点で書き換えとなるのか、自身でお試ししてみようと思っています。
      分かり次第、ブログにまとめますね。

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