こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。
「教員の不祥事」に関する報道をよく見かけます。
自分自身が先生だったときは忙しすぎてニュースを見る暇もほとんどなかったのですが、退職した今になって冷静にニュースを見ると……
教員の不祥事って多いんだなぁと感じます。
以前は聖職と呼ばれた先生ですが、現代の先生を取り巻く環境はどうなっているのか、そもそも教員の不祥事にはどんなものがあるのかを整理してみましたよ。
教師と医者と警察は聖職なの?
先生は、自己犠牲を惜しまない聖職であるべき?
「他の職業に比べて教師と医者と警察は、聖職として扱われて大変だね」
以前、学生時代の先輩から言われたことがあります。
一労働者として賃金や残業のことを口にすることは、みっともない。生徒のために自己犠牲を惜しまず全力で尽くさなければならない。
だって聖職なんだから……。
昔ほどではないのかもしれませんが、今の時代でもこの考えは世の中に根強くあります。
平成元年生まれのわたし自身も、先生=聖職にとらわれていたところが大きいと思います。
「先生も人間なんだから」は適切な指導?
自ら「先生も人間なんだから」とおっしゃる先生もいました。
- 昼休みに質問に来た生徒に対して「今ごはん食べてるから後にして」と答える
- 放課後に相談事があると声をかけてきた生徒に対して「今日は用事があるからもう帰るの」と答える
- つい怒鳴ってしまったときに「先生も人間なんだからイライラします」と生徒に伝える
このブログは学校や生徒を特定することは本意ではないので具体的には書きませんが、実際やりとりを聞いていて「もう少し違う言い方があるのでは?」と感じた経験も少なからずありました。
言い方って、文字では表現はしづらいんですけれど…
ちょっとした視線や声色もありますよね。
お客様は神様ってお客さん側が言っちゃうみたいな感じ、という表現で語弊なく伝わりますかね…
ほんと、言い方によっても
生徒の受け止め方は
大きく変わると思います。
保護者の方から「うちの子、○○先生にこんなこと言われたんですけど!」という苦情の電話をもらうこともありました。
この○○先生が意外と、若い先生ばかりでもなかったりするので……わたしに言われましてもという感じで正直反応に困っちゃうことも多かったです。
言いやすいからこっち(若手教員)に苦情が来ちゃっていたんだと思います><
聖職なんだから、と思いすぎても苦しい
では「先生も人間なんだから」を言う先生がダメなのか?というと、一概にそうとも言えないのです。
「先生も人間なんだから」と自分自身に対して思えなかったわたしは、自分の感情や都合を閉ざす方向にどんどん進んでいってしまい、苦しくなって、結局辞めていますからね……。
関連 うさぎせんせいが先生を辞めた理由
わたしは、食べかけのパンをデスクにおいて、生徒の質問に対応するタイプの先生でした……。
読んでくださっている方の中に
もし現職の先生がいたら…
トイレには!ちゃんと!
行ったほうがいいですよ!!
場合によっては保護者の方のほうから「うさぎ先生も生活があるのに、こんな遅い時間まで対応してもらってありがとう」「うちの子、こんなことしちゃって……うさぎ先生もイラッとしたでしょー?」と人間扱いしてもらえることもありました。
しかしどちらかというと、先生は聖職なんだから我慢して当然という考えに遭遇することが多かったです。
「こっちは仕事が終わって疲れてるのに、電話してこないで!」と言われたこともあります。
電話をかけているということは、こちらはまだ仕事中なんですけど……なんてね(^ x ^;)
不祥事は、先生だから目立つ?
実際、何か事件が起きたときに、加害側が会社員なのと教師or医者or警察なのとでは、報道の仕方が異なるなぁとは思います。
それだけ社会からの信頼がある職業というか、公務員への捉え方って感じなのかもしれません。(私立の先生は公務員ではないですけれどね)
救急隊員がコンビニを利用するだけで苦情が来る、なんてニュースを見ると……人間として扱われていないんだなぁって思って、いたたまれなくなります。
《キャリコネニュース》2018年7月27日の記事です。約2年前のものですが……世知辛いですね。
名古屋市消防局は7月26日、公式ツイッターで、救急隊員のコンビニ立ち寄りに理解を求める呟きを投稿した。投稿は2万5000件以上リツイート・お気に入りされ、注目を集めている。
https://news.careerconnection.jp/?p=57302
「猛暑の影響で救急出動が急増し、通常より救急隊を増やして対応していますが、1日の出動が22件となった隊もあります。そのため出動が連続し消防署に戻れない時は、救急車でコンビニ等に立ち寄り飲料水等を購入する場合があります。その際も、出動態勢は維持していますので、ご理解をお願いします」
一方で、ニュースの中には個人情報の漏洩や性犯罪など、別に教師じゃなくても、単に人としてダメでしょ……と感じるものもあります。
最近見かけたニュースをピックアップしますね。
教員の不祥事に関するニュース報道
個人情報の漏洩
《サイバーセキュリティ.com》10月14日の記事です。
いわき市によると、問題の教員は2020年10月2日、自宅に業務を持ち帰るため学校で作成した児童の指導計画などを電子メールに添付し、自身のプライベート用の端末で使用しているメールアドレスに向けて送信。
https://cybersecurity-jp.com/news/43452
ところが教員は入力したアドレスを間違えていたため自身の端末へは届かず、別の第三者に送信する形になったとしています。なお、いわき市は事案発覚後、保護者らに謝罪と経緯の説明を実施。誤送信先に向け、送信データの削除を依頼しています。
事案が起きたのは金曜日とのことで、いわゆるコロナ禍もあり、家に持ち帰っての仕事をせざるを得ない状況もあるのではないかと推察します。
もちろん内容としてはダメなことですが、そもそも、休日前に自身のプライベート用の端末に仕事を送るということ自体をなくしていけたらというふうにも思ってしまいます。
「個人情報 教員 漏洩」などで検索すると、いわゆるリークを集めたようなサイトもありました。情報ソース(自治体HPなど)が書かれていなかったので、本当のことなのかな?という怖さを感じましたが……どうなんでしょうね。
《中京テレビニュース》5月29日の記事です。
岐阜県教育委員会によりますと、27日、教員採用試験の志願者89人に書類提出を求めるメールを一斉に送信した際、送信先の設定を誤り、このうちの14人が全員分のアドレスを閲覧できる状態になったということです。
https://www.ctv.co.jp/news/articles/h1n4799x8a2mk4ga.html
こちらは先生というより教育委員会の問題ですが、BCCとCCの違いが分かっていなかったというようなことかな?と考えられます。
この後に採用試験が実施されたものと思いますが、「わたしが先生になりたい場所は、こんなに個人情報の管理がゆるい場所なのか……」と受験自体を考えて直してしまった教員志願者もいるのでは。
性犯罪
《FNNプライムオンライン》10月1日の記事です。生徒の純粋な気持ちを利用した、信頼を踏みにじる行為です。
「加害者の教師が嘘をつけば懲戒処分を免れるという加害者に有利な状態はおかしい。その教師が今でも中学校で生徒と接していて、生徒が何も知らないで学校に行っていて、教育委員会も黙っている。この情景を想像して、黙っているのに我慢できなくなりました。私が提訴に至った一番の理由です。」
https://www.fnn.jp/articles/-/89808
結果としては、被害者側の敗訴だったそうです。
もし、自分の同僚がこのX先生だったら……と考えるだけでゾッとします。
わたしの元勤務校は女子校だったので、生徒との接触に人一倍気を使う男性の先生の話もよく聞きました。
「夏でも、半袖で脇毛が見えると不気味がられるから、あえて長袖を腕まくりしている」という、いわば自衛をする男性の先生もいました。
少し手がぶつかっただけでも「キモい!」なんて言われてしまう場合も…いろいろ苦労や工夫があるそうです。
《デイリー新潮》3月19日の記事です。
再犯率が高いとされる性犯罪とはいえ、何しろ“5回”である。大阪府で複数の女児らにわいせつな行為などをした疑いで、小学校の講師が5度目の逮捕となった。
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/03190557/?all=1
同じ人が5度逮捕って……目を疑う数字です。
「長期間にわたって免許を失効するような事案であっても、聴取が辛いなどの理由で被害者が被害届を取り下げることも多い。すると、起訴されず、3年間の失効だけで済む容疑者が出てきます。また、性犯罪者は養子縁組等で名前を変えることもあり、名前で検索しても過去の処分歴をチェックできないケースもあるのです」
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/03190557/?all=1
被害者感情を尊重しているとは思えないこの制度。被害女児は一生のトラウマを抱える可能性がある。それよりも保護しなければいけない性犯罪者の個人情報とは何なのか。
なぜ再び教壇に立つことができるのか?と疑問に思いましたが、3年の失効だけですむ場合があるのですね。
このシステムについては初めて知り、気になってさらに調べてしまいました。
関連 先生のわいせつ行為と教員免許の再交付
しかし、そもそも先生という立場ではなくても……再犯率が高いと言われるならなおのこと、加害者へのケアはどれほどなされていたのでしょうか。
加害者なんかほっとけと言わそうですが、わたしは被害者を守るには、加害者へのケア(それが治療なのか説得なのか法で裁くことなのかはさておき)が必要だと思っています。
性犯罪に限ったことではありませんが、加害者がいなければ被害者だって生まれないからです。
暴力・傷害
《ライブドアニュース・文春オンライン》10月16日の記事です。
顧問を務める柔道部の男子部員2人に投げ技をかけて両頬を殴り、さらに寝技をかけ続けた末の傷害容疑。1人は首に軽い打ち身で済んだが、もう1人は背骨を折る全治3カ月の重傷だった。
https://news.livedoor.com/article/detail/19064095/
記事によると、当該教員は過去にも懲戒処分を受けていたとのことです。
それでも別の学校で採用されるほど柔道の腕が確かだったのか、臨時的に仕方なく雇用せざるを得なかったのか……?疑問です。
《神戸新聞NEXT》9月23日の記事です。
上のニュースの後で見ると「デコピン」はそこまで大きなことには見えないかもしれませんが、これも十分体罰に相当します。
このうち、複数の男子生徒に体罰をしたなどとして、加東市立中の男性教諭(32)を減給10分の1(6カ月)とし、同校校長を戒告とした。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202009/0013722357.shtml
男性教諭は複数の生徒に、頭を中指ではじく「デコピン」をしたり、姿勢を正すように髪の毛を引っ張ったりしたりしたという。生徒の一人から聞いた保護者が学校に相談して発覚した。
この記事では他の教員にも処分について説明がありますが、いずれも先生じゃなくてもそれはダメでしょ……という内容だと思いました。でも加害者が一企業の会社員であれば、処分はされても報道はされないのかな……?
おわりに
自分からまとめておいてなんなのですが、教員の不祥事の多さに衝撃を受けてしまいました。
ニュースがあるたびに、一部の人のせいで教師そのものへの風当たりが強くなっていくと思うと、身を粉にして働いていた者としては悲しいです。
教員志望の学生が減少傾向にあるというのはよく聞く話ですが、うなずけてしまう気がします。
しかしこのままどんどん減少していくとなると、教員の質の担保というのが心配です。
不祥事で急に解雇された教師の穴埋めを誰かがするわけですが、今度は「誰でもいいから来て!授業して!」という状況で雇われる講師の質って……?みたいな話になります。
もちろん臨時講師の人の中に、いい先生もたくさんいらっしゃいますけどね。
問題を起こす・起こさないという低次元の話ではなく、教え方や生徒対応のスキルとしての質の担保を考えていく必要があると思いますが、そうも言っていられないのかもしれません……。
教員免許の再交付システムについては今回初めて知り、気になって改めて調べました。
続きの記事としてぜひご覧ください。
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