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美術部顧問の記録|夏休み合宿の実施例・場所・準備スケジュールを紹介します【大阪〜滋賀】

美術部の合宿場所おすすめ関西から滋賀長浜 学校の先生
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こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。

教員生活のさまざまな業務を振り返ったときに、準備が大変だったと思う仕事の一つが「美術部の合宿」です。

合宿引率は楽しい場面も多かったし美術部の生徒たちとのよい思い出もたくさんあるのですが、楽しいだけでは済まされないのが顧問教員の仕事なんですよね。

合宿の準備の中で特に時間がかかったのが、行き先の場所決め・行程決めでした。

現役の美術部顧問の先生方の業務が少しでも減ることを願って、実際に行った美術部の合宿の場所やそこでの活動内容、準備のスケジュールについてわたしの経験を記録しておくことにしました。

  • 美術部の顧問教員をしている
  • 合宿の場所選びに悩んでいる
  • 行き先決定までの流れを知りたい
  • 合宿で何をさせればいいかわからない
  • 他の学校の実施例を見てみたい

こんな方におすすめの内容です。

もちろん学校によって事情が異なる部分はいろいろとあるかと思いますが、一例として少しでもどなたかの参考になれば幸いです。ぜひ最後までご覧くださいね。

3つの記事に分けてご紹介します。
今回は近いけど面白い
滋賀行きです!

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美術部の夏休み合宿・人数と予算と諸条件

今回ご紹介する美術部の夏休み合宿人数予算などの実施条件はこちらです。

  • 大阪発着
  • 夏休み2泊3日
  • 貸切バス利用
  • 私立中学校女子校
  • 美術部の希望者20名前後
  • 引率者は教員2名
  • 予算は35,000〜38,000円/人

この合宿は希望者のみでしたので年によって15〜30名程度まで幅がありましたが、おおむね20名前後になることが多かったです。施設利用料が団体料金になるかどうかが微妙な人数ではあります。

行きたい気持ちのある子だけを
連れて行く
ので、そういう意味では
とても引率しやすかったです

合宿の予算は他の部活との兼ね合いもあり、大体これぐらいでと学校側から言われていました。
物価高の今なら4万円近くになってしまうのかも?

行き先までの距離の目安は「大阪府内の集合場所を出発して、最初のスポットにたどり着くまでに休憩1回でいい」ぐらいです。中学1年生も含んでいるので、長距離の移動は避けました。

鳥取・滋賀・岡山3ヶ所を3年ローテーションで、中1から中3まで在籍すれば全部に行ける(生徒は同じ場所に行くことはない)という仕組みにしていましたよ。

今回は滋賀方面に行った際の実施例をご紹介します。

美術部の夏休み合宿・行き先選びで重視したポイント

さて、具体的な訪問場所の話をする前に、美術部の合宿ならではのポイントを先に解説しておきますね。

美術部合宿・行き先選びで重視したポイント
  1. 屋外スケッチ(5時間程度)と合評会ができる
  2. 美術館鑑賞ものづくり体験ができる
  3. 公共交通機関ではなく貸切バスで行く

これらの重視したいポイントを
すべてクリアできる場所
を、
行き先
として選びます

①屋外スケッチと合評会ができる

2泊3日の中日にあたる2日目には、公園や牧場などで屋外スケッチを実施します。

実施可能な場所かどうかの判断として、特に事前に確認が必要な事項はこちらです。

  • 生徒がお気に入りの場所を見つけやすいか
  • 絵の具用の水の交換に使える水道があるか
  • 途中で休めるような日陰があるか
  • 昼食のタイミングをどうするか
  • 合評会に使える部屋がホテルにあるか
  • 雨の日の代替案

いずれも確認は様々大変なのですが、
一度実施できれば二度目の訪問からは
そんなに困らないはずなので、
なんとか一回目を乗り越えましょう…!

お気に入りの場所を見つけやすいか

中学生にとって描きやすい風景」であることを重視していました。

ここでいう描きやすさっていうのは簡単ということではなくて、描きどころがある、絵の中で主役を作りやすい、構図選びがしやすいというような意味です。

そして20名程度を連れて行くので、緑や花が好きな子もいれば建物が好きな子もいて、動物がいいという子もいて…好みはさまざまなんですよね。

なるべく全員がお気に入りの場所を見つけやすいようなスポットを選ぶようにしていました。

絵の具用の水の交換に使える水道があるか

絵の具用の水の交換は、「トイレの水道があるし大丈夫でしょ」と安直に考えてしまうと危険です。

一般の利用者さんも多くいらっしゃるはずなので、「このトイレの水道ならOK」「管理事務所の水道ならOK」「汚れた水を捨てる場所はないのでペットボトルに入れて持ち帰り」など何らかの指示を受ける可能性が高いです。

絵の具を使ったスケッチはそもそも禁止されている場合もあるので、必ず事前に確認しましょう。

生徒が休める日陰があるか

夏休みに実施であればほどよく休める日陰があるかどうかを確認しましょう。

20人程度が分散して描くことができる雰囲気のよい景観があるかどうかも大切ですが、まったく木陰がないような場所だと危険です。

あまり暗いと描きづらいですし、
カンカン照りだと暑すぎて
絵を描くどころではなくなるので…

昼食のタイミングをどうするか

大体5時間程度の設定でおこない、合間に生徒が各自で昼食休憩または描き終わったらバスに戻って昼食という形にしていました。

昼食には仕出し弁当を選ぶ場合が多かったですが、行き先によっては各自でレストラン利用OKにしたこともあります。

天気やバス駐車場の有無にもよるので、バス運転手やホテルとのタイミングの確認が必要です。

合評会に使える部屋があるか

全員の作品をホワイトボードに貼って、小一時間程度で相互合評をさせていました。

まずは慣れている中3に、「後輩の作品でいいなと思うところ教えて」とか「同じ場所を選んだ人と自分の見え方の違いについてどうだった」とか話を振ると、数珠繋ぎでどんどん進んでいくはずです。

このために、日頃から人物クロッキーなどで合評会の練習を積ませておくといいですね。

ホテル側には会議室や宴会場など部屋の利用と、ホワイトボードやマグネットの貸し出しを確認しておく必要があります。「夕食後にそのまま宴会場をどうぞ」というケースが多かったです。

合評後は作品を預かっておいて、
秋の文化祭で展示しました

雨の日の代替案

屋外スケッチの最大の難点は、雨だったらどうする?というところですよね…。

わたしは「雨だったらホテルの会議室などで人物クロッキーや、窓から見える雨の様子をスケッチする」ということにしていました。

「雨天であれば2日目に会議室を借りたい」という旨を、あらかじめホテルに相談しておく必要があります。

幸いなことに8年間の中で2日目に雨が降ったのは一度きりで、しかも台風の大幅な進路変更によるものだったので、実は2日目に帰校となったんですよね><

そんなわけで雨バージョンのスケッチは経験することがなかったのですが、必ず何か代替案を考えておく必要があります。

②美術館鑑賞やものづくり体験ができる

大きな企画展が実施されている美術館だとどうしても混雑が予想される鑑賞時間が長くなりすぎるので、どちらかというとその地域に根ざした小〜中規模の美術館を選ぶようにしていました。

なかなか企画展の内容や休館日とのタイミングが合わないことも多く合宿の行き先選びが苦戦する理由になりがちでしたが、やはり「美術部」の合宿なのでこれは外すわけにもいかず…。

あとはものづくり体験にもよく参加させてもらっていました。

意外と高校生以上対象のものが多かったり所要時間が長すぎるものがあったりで苦戦しつつ、なんとか組み込むようにしていましたよ。

観光地の近くだと、「体験が終わった人から自由散策時間」という動きができてスムーズです。

③公共交通機関ではなく貸切バスで行く

移動には貸切バスを利用して、生徒たちが持参した好きなCDを流して楽しむことが毎年の定番でした。

20人程度の中学生に対して教員が2人なので公共交通機関も使えないわけではなかったのですが、生徒たちにとっては「自分たちだけの安心できる空間」が大事かなと思ったことと、知らない土地での急な運休などに対応するのは教員側も難しいということで、貸切バスを利用していました。

それに、公共交通機関だけで行こうとすると、どうしても行き先が限られてしまうんですよね。
時刻表による制約も厳しいです。

交通の便が悪い美術館でも、
屋外スケッチで荷物が多くても、
貸切バスなら対応できます

雨天時移動も安心!

ただ、どうしても駐車場料金乗務員費用がかかるので費用が高額になるし、訪問先のバス駐車場の空き状況についてもチェックが必要というところはあります。

あとはかなり早めに頼まないと「バスが手配できないせいで合宿が実施できなくなった」なんて事態になりかねないので、そこだけはくれぐれも要注意です…!

ポイントを確認できたところで、
いよいよここからが本題ですよ!
鳥取方面編です!

滋賀方面のスケッチ場所

ウッディパル余呉

滋賀方面でスケッチ場所に選んだウッディパル余呉は、先輩教員に教えてもらったスポットです。

本来は宿泊してキャンプを楽しむ場所なのですが、木漏れ日の中に小さな池に鯉、そして点在するコテージというのが非常に絵として描きやすいんですよね。お気に入りのスケッチ場所を見つけやすいと思います。

高校生ぐらいであれば、ここにそのまま宿泊するのもありかもしれません。

かなり緑が生い茂っているので、この日は長ズボン必須にしたほうがいいです。草で足を切ってしまう恐れがあります。虫対策にもなりますね。

彦根城

余呉まで行くのが少し遠いな…ということで新たにスケッチの場所として選んだのが、彦根城です。

お城そのものはもちろんのことその周辺の庭園や緑も美しく、やぐらなどの面白い建物もあり、こちらもお気に入りのスケッチ場所を見つけやすいと思います。

敷地内は広くて高低差が大きいので、ある程度エリアを絞って場所決めをさせないと教員巡回が大変です。一般の方のご迷惑にならないような配慮も必要です。

  • 彦根城
  • 滋賀県彦根市金亀町1−1
  • 公式 彦根城

滋賀方面の美術館・ものづくり体験

陶芸の森

信楽焼のふるさとにある陶芸の森は、陶芸専門の美術館です。

たぬきでお馴染みの信楽焼以外にも世界のさまざまな焼き物を企画展示していて、館内は広すぎないので鑑賞しやすいです。

自然豊かな公園でもあるので、ここを合宿の初日にしておいて持参したお弁当を食べるピクニックスタイルにしたことがあります。屋外展示のやきもの作品もたくさんあって素敵ですよ。

日程が合わなくて参加したことはないのですが、子ども向けの体験講座もあるようです。

佐川美術館

佐川美術館は、比較的大きめの美術館です。

設立母体の佐川急便株式会社が、創業40周年記念事業の一環として1998年3月に開館したのだそうです。

全体的に落ち着いた雰囲気があるのと、タイミングが合わずあまり子ども向けではない企画展になってしまうことが度々あって、結局一度行ったきりとなってしまいました。高校生ならいいかも?

  • 佐川美術館
  • 滋賀県守山市水保町北川2891
  • 公式 佐川美術館

海洋堂フィギュアミュージアム黒壁龍遊館

長浜にある海洋堂フィギュアミュージアム黒壁龍遊館は精巧なフィギュアで有名な海洋堂の施設ということで、ミニチュアやジオラマなど、一風変わった展示をしている美術館なんですよね。

入館者プレゼントとしてガチャガチャが一回できるのも特徴です。

学校行事での行き先としてはちょっと珍しいかもしれませんが、「ここ行ってみたかった!」という生徒も多かったです。こういう「美術」もいいですよね。

お土産売り場にはたくさん海洋堂の製品があるので、生徒のおこづかいの使い方には少し注意をしておいた方がいいかもしれません…

黒壁十三號館ガラス体験アトリエルディーク

黒壁スクエアの近くにある黒壁十三號館ガラス体験アトリエルディークでは、ガラスのサンドブラスト制作体験でグラスやアクセサリーケースを作りました。

生徒たちが事前に図案を考えられるように、制作物のサイズを確認しておいて合宿のしおりに図案ページを入れておくのがおすすめです。当日に一からアイデアを考えると、それだけで一日かかってしまいます!

海洋堂フィギュアミュージアムのすぐ近くにあるので、観光や昼食を絡めてうまく行程を組みたいですね。

琵琶湖博物館

美術館ではないのですが、琵琶湖博物館はほどよい大きさで鑑賞しやすいということもあり、たびたび訪問していました。

関西に住む者として、古代湖・琵琶湖の生き物のことを詳しく知っておくのもいい経験ですよね。なまずがかわいいです。

滋賀方面の宿泊

宿泊場所長浜エリアを選んでいました。

北に進めば余呉、南に進めば彦根なので行程を組みやすいですよ。

滋賀は大阪方面からだと近いので、生徒たち自身が行こうと思えば行ける距離なんですよね。

そういう意味では合宿ならではの特別感がある訪問場所を選ぶことに苦慮しました。

美術部の夏休み合宿・先生の準備

旅行会社の仲介について

これは学校によるようなのですが、わたしの勤務校では旅行会社に仲介依頼する部活がほとんどでした。

数年に一回は複数社で相見積もりを取るのも前提でしたが、うちの美術部のように20人程度となると正直なところ旅行会社さんはあまり儲けにならないようで…相見積もりの依頼を断られてしまうこともありました><

そんな中でJTB教育旅行さんは担当者さんの対応がいつも丁寧で、メールのお返事も早く、とても助けられた存在で印象に残っています。

「添乗中なので○日以降に返事します!」という自動返信を設定してくれていて、それがすごく助かったんです。合宿以外の仕事を先に進められますからね。

何度かJTB教育旅行さんにお世話になったのですが、そういう安心できる担当者さんと出会えると合宿の準備がかなり楽になりますよ!

逆に、何日も連絡が取れない
旅行社さんもありました…

お忙しいんでしょうけれど
こちらも忙しいんですよね…

ちなみに、練習設備の関係などで行き先が毎年変わらない部活については、先生個人でホテルやバスを手配するケースもあったようです。

行き先が変わらないとはいっても手間なのは間違いないので、顧問の先生は大変そうでした…

合宿、楽しいけど…
準備が本当に大変!!!

準備のスケジュールについて

顧問の先生がやるべき事前準備について、春休みから当日までの流れはこんな感じです。

美術部の夏休み合宿
顧問の先生の準備スケジュール
  • 春休み
    参加生徒数の目安と日程を、旅行会社に連絡

    数年に一回、相見積もりが必要

  • 5月ごろ
    日程と行き先の候補を絞る

  • 5月下旬〜6月上旬
    必要であれば教員による下見を実施

    初めての訪問になる場合は下見に行く

  • 6月中旬
    保護者宛に「場所・日程・大体の費用」を仮案内

    参加生徒数を確認し、費用計算に反映
    管理職宛に合宿実施の申請書類を提出

  • 6月下旬〜7月上旬
    保護者宛に正式な「合宿参加申込書」を案内

    代表生徒にしおりの表紙の絵を描いてもらう

  • 7月中旬までに
    「合宿のしおり」作成

    部屋割り、持ち物、訪問先の美術館やものづくりに関する解説を入れる

  • 7月下旬
    参加生徒に「合宿のしおり」配付
  • 7月下旬〜前日
    合宿当日の天候を注視

    緊急時の連絡ルートを管理職と再確認

  • 8月上旬
    当日の朝!

学校全体の流れに合わせると、中間試験の頃に下見に行って、期末試験の頃に正式な案内を出して、終業式でしおりを配るっていうイメージですね。

わたしの勤務校では終業式の後にも夏の大会があった関係でほとんどの美術部員が7月末まで登校していたので、質問などを受けられる期間がありました。

もし登校予定がない学校なら、期末試験の頃にはしおりを配ってあげたいですね。

先生の下見について

わたしの勤務校では何よりも生徒の安全重視という学校方針だったので、顧問が2回目の訪問になる場合以外は生徒に案内を出す前に顧問が下見に行って現地を確認するようにしていました。

なかなかすべての施設を下見というのは時間的に難しいのですが、特に屋外スケッチの場所は下見しておいた方がいいと思います。

絵の具や水を使わせてほしいということを施設の方に直接伝えたり、スケッチしやすそうな場所を生徒に案内するためにメモしておいたりできると、合宿当日がスムーズですよ。

ちなみに下見にかかる費用(交通費など)は合宿費用に含めることができたし合宿の必要経費なんだからそういうものだと当時は思っていたのですが…
これが先生の自腹になる学校も少なくないし、なんなら合宿当日の先生自身の宿泊費などが自腹になる学校もあるのだとか…!?

貸切バス利用の件もですが、
私学の女子校ということもあってか
学校も保護者も安全のための費用は

惜しまない校風でしたありがたや…

おわりに

今回の記事では実際に行った美術部の合宿の行き先やそこでの活動内容、準備のスケジュールについて、わたしの経験をご紹介しました。

美術部の合宿中学生おすすめ行き先陶芸の森
陶芸の森より背景引用

いろいろと準備は大変ですが、生徒たちにとっても先生ご自身にとっても、大きな思い出になるはずです。

美術部に関わる先生方にとって少しでも参考になると嬉しいです。

岡山編鳥取編もあるので、よろしければ合わせてご覧くださいね。

美術部合宿教員レポート・レトロかわいい岡山編!
美術部合宿教員レポート・自然あふれる鳥取編!
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