
こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。
- 教員朝礼やホームルームの話題を探してる
- 最近の学校教育にまつわる話を知りたい
- 美術の教材作りのきっかけが欲しい
- 教員採用試験対策でニュースを遡りたい
こんな方におすすめの記事です。
ニュースの内容と独自の考察を、読みやすい長さにまとめています。
ぜひ最後までご覧くださいね。
今回は「教員採用試験を共同実施」に関する話題を紹介します。
話題は「教員採用試験を共同実施」
教員採用試験で共通問題、教委7割超が検討…2027年度からの実施目指す : 読売新聞オンライン
全国の教育委員会が個別に作成している教員採用一次試験(筆記)について、試験を実施する教委の7割以上が、2027年度/R9年度実施分(2028年4月採用分)より共通問題の導入を検討しているというニュースです。
教員採用試験を実施する都道府県・政令市など68の教育委員会に意向調査をおこなったところ、なんと7割を超える51の教委から共通問題を導入したいという回答があったそうです。

「待ってました!もう限界なんです!」
という各自治体からの
悲鳴が聞こえてきそうですね…
教員採用試験・共通化のデメリット
教採の共通化によるデメリットを考えてみます。
- 自治体ごとの独自の特色を反映しづらくなる
- 併願については検討中、全国共通「ではない」
自治体ごとの独自の特色を反映しづらくなる
共通化されるのはあくまでも一次試験のみではありますが、試験問題が共通化されることで自治体独自の問題・地域色の強い問題を出題することができなくなる可能性があります。
自治体ごとの質の差が出にくくなる・公平性という意味では、受験生にとってはある意味ではメリットと言えるかもしれませんけれどね。
「共通問題に自治体の独自問題を追加できるように」という案もあるそうですが、そういう煩雑になることは(ミスを防ぐために)しないほうがいいような…?と個人的には思っています。

とはいっても対象は一次試験なので、
おそらく教職教養・一般教養でしょうし
そこまで独自色は必要ないのかも…?
やはり地域ごとの個性が出るのは、
専門教養や面接・模擬授業ですよね
併願については検討中、全国共通「ではない」
教採の併願についてはさまざまな可能性を検討中とのことですが、一般的に考えれば、試験内容が共通化されるということは共通問題を導入した自治体同士は試験日も共通化・統一されるということになります。
従来であれば一次試験の実施日が異なる自治体を複数受験するといういわゆる併願が可能でしたが、これが難しくなるという懸念がありますね。

自身の地元や大学所在地、
パートナーの就職先など…
どこの自治体を受験するか迷う人も
案外多いと思うんですよね
「違う問題を用いて複数の日程を設定する」という形で併願可能になる案もあるそうですが、そういう煩雑になることは(ミスを防ぐために)しないほうがいいような…?と、やはり個人的には思ってしまいます。業務軽減にならないですからね。
なお、今のところ導入予定なのは全国共通試験化・一本化という方向性ではないタイプのようです。
いつかもしも全国で一本化されることがあれば、「一次試験を受けた後で受験自治体を選べる」「二次試験で他自治体との併願が可能」のような未来もあるのかな?なんて想像しています。まるで大学入試みたいですね。
教員採用試験・共通化のメリット
上記のデメリットを踏まえつつ、教採の共通化によるメリットを考えてみますね。
- 作問・点検・採点の業務負担軽減
- 受験者が一つの自治体に捉われずに試験対策ができる
- 教採全体の受験者数が増える可能性がある
作問・点検・採点の業務負担軽減
共通化の最大のメリットは教育委員会(試験を実施する側)の業務負担軽減です。
教員採用試験については作問ミスに関する報道がたびたびありますが、教育委員会作成にしろ外部委託にしろ、業務負担が大きいことは間違いないんですよね。

作問や問題の確認作業に追われ、
授業改善の指導や教員研修などに
十分な時間を割けないという
大きな課題がありました
問題作成に係る負担軽減によって、二次試験においてよりていねいな選考が可能になります。
それに、なによりも学校現場への支援により注力できますよね。教採の時期だからといって、他の業務がないわけではないのです。
受験者が一つの自治体に捉われずに試験対策ができる
試験を受ける側のメリットとしては、一つの自治体に捉われずに試験対策ができるという点が挙げられます。
出願自体の話で言えば併願がしづらくなる可能性があるのでそこはデメリットも含むのですが、現行のような「勉強を始める前から出願先を決めておく」という必要は(ほぼ)なくなるわけです。
ただ、繰り返しになりますが共通化されるのはあくまでも一次試験のみです。
面接や模擬授業などのより込み入った準備・対策が必要な二次試験は自治体独自の内容になりますので、そこには注意が必要ですよ。
教採全体の受験者数が増える可能性がある
そして3つめは、教採全体でいえば受験者数が増える可能性があるというところ。
これは併願の実施形式にもよりますが、たとえば地域問題の追加なしで完全に共通問題になれば、一次試験のあとで(共通問題導入対象の)複数自治体の二次試験に応募できる可能性があります。
そうなれば受験者数は増えますよね。
ただ、これには危険も孕んでいて…
「併願で複数の合格を得た受験者が後ほど辞退する」ことが増えるとすれば、合格のボーダーラインを決めづらくなりそうな気はします。

何十人と合格を出したのに、
半分ほどが辞退してしまって
困惑…なんていう報道も
たびたび耳にしますよね
教採・共通問題の導入予定は2025年度入学の大学生から
現在の予定では2027年度/R9年度(2028年4月採用分)から実施とのことです。
これは2025年度現在の大学1年生の人たちが、いわゆる「3年前倒し選考」を受験するタイミングに該当しますよ。(その場合は採用は2029年4月ですが)
- 3年前倒し選考
- 従来は大学4年次でしか受験できなかった教員採用試験の一次試験について、その一部または全部を3年次の段階でも受験できる制度
- 仮に3年次に不合格になったとしても4年次に再度受験可能なので、受験機会を増やすことができる
- 2023年から一部で試験的に導入され、2024年には半数を超える自治体で実施された
「3年前倒し選考」は自治体ごとにさまざまな名称があるのですが、こういうのもややこしいから統一したらいいのにな…?と思っています。

「大学3年生前倒し試験」
「大学3年生チャレンジ選考」
「大学3年次プレ選考」
など…覚えられないですよね><
教採・共通問題を導入する自治体はどこ?
受験する可能性がある自治体が共同実施に参加するのかどうか、とても気になりますよね。
教員採用試験を実施する都道府県・政令市など68の教育委員会に意向調査をおこなったところ、7割を超える51の教委から共通問題を導入したいという回答があったそうです。
ただ、議論を踏まえた詳細な制度設計の結果、最終的な共同実施への参加は異なる可能性があるため、導入を希望する自治体名については非公表になっています。
まとめ
今回は「教員採用試験を共同実施」に関する話題を紹介しました。まとめるとこんな感じです。
- 教採の一次試験について、共通問題導入の検討が開始
- 意向調査では7割を超える教育委員会が導入を希望
- 2027年度(2028年4月採用分)の導入になれば、現在の大学1年生の3年前倒し選考の時点で共通問題が導入されるということになる
教員採用試験の制度改革として大きなターニングポイントになりそうですね!
考えられるデメリットとメリットも、まとめておきますね。
- 自治体ごとの独自の特色を反映しづらくなる
- 併願については検討中、全国共通「ではない」
- 作問・点検・採点の業務負担軽減
- 受験者が一つの自治体に捉われずに試験対策ができる
- 教採全体の受験者数が増える可能性がある
共通化の方式にもよりますが、基本的には共通問題になることでメリットを得る人が多いように思います。
なにより、教育委員会の業務負担が減るということは学校や先生へのサポートに時間やエネルギーを注力しやすくなるということですから、学校現場が働きやすい環境に変わっていくことへの期待ができますね。
せっかく負担軽減になるはずの機会なので…
複数日程にするとか独自問題を増やすとか複雑なことをすると結局は採点も問題管理もややこしくなるので、シンプルな形式に落ち着くといいな…!って個人的には思っていますよ。
なお、この記事は2025年10月現在の情報をもとに作成しています。
ご自身で最新の情報をご確認くださいね。
公式 教員採用選考に係る第一次選考の 共同実施について:文部科学省
これから教採の受験を考えている人にとって、少しでも参考になると嬉しいです。

こういう自治体ごとの過去問集や
一般教養・教職教養のテキスト業界は
大きな影響を受けそうです…!
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