こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。
- 教員朝礼やホームルームの話題を探してる
- 最近の学校教育にまつわる話を知りたい
- 美術の教材作りのきっかけが欲しい
- 教員採用試験対策でニュースを遡りたい
こんな方におすすめの記事です。
ニュースの内容と独自の考察を、読みやすい長さにまとめています。
ぜひ最後までご覧くださいね。
今回は「新任は1人でクラス担任を持たない」に関する話題を紹介します。
教員不足対策でチラシを撒いたりアドトレーラーを走らせたりしている自治体もありますが、とても効果があるとは思えないんですよね…
そんな中、山形県の取り組みが目に留まりました。
話題は「新任は1人でクラス担任を持たない」
山形県「新採は1人で担任持たず」の体制で精神疾患による休職者・退職者ゼロ|東洋経済education×ICT
この事業では、学校の規模によって2種類の支援がおこなわれています。
- 5または6年生が3学級以上ある大規模校
新採教員は「教科担任兼学級副担任」として特定の教科の授業を受け持ちながら、先輩教員の下で学級経営や保護者対応を学ぶ - そのほかの小学校
新採教員は学級担任を受け持つが、授業の一部を代替するなどのサポートをする支援員が配置される
実際に2023年度に採用された新卒の小学校教員106人の内訳としては、24人が教科担任兼学級副担任、82人が学級担任(支援員配置)となったそうです。
後者の場合はクラス担任を受け持ってはいますが、支援員の配置により週6コマ程度の空き時間を確保できるようになったとのことで、教材研究や学級事務を進める上で時間的にも精神的にもかなり余裕が出ますよね。
「学級担任を持つことが夢だった」という新任の先生にとっては多少の物足りなさがあるかもしれませんが、現場の教員からは「今までの新採教員よりは退勤時間が早くなった」という声があるとのことですし、大卒の新採教員の精神疾患による休職者・退職者がゼロになったというのは大きな成果だと思います。
いっぱいいっぱいで辛そうな
先生と過ごすよりも、
児童も嬉しいですよね!
「研修医」的な立場があれば、保護者の安心にも繋がる
これはわたしの個人的な考えですが、教員免許も持っているし採用試験にも合格している、その上での立場というのか、学校の先生にも「研修医」のような立場があってもいいですよね。
山形県のこの「新採教員育成・支援事業」は、まさしく「研修医」のような立場だなと感じました。
「クラス担任を持って、実際にトラブルが起きてから学べること」ももちろんありますけど、内容によっては児童たちの将来や命に直接関わりかねないトラブルもありますから、他の先生の指導方法を客観的に学べる機会はとても重要です。
それに、児童や保護者(特に保護者)にとってはどうしても「え、新任の先生がうちの子の担任?大丈夫なの?」という不安が拭えないと聞きます。
どれだけ優秀な先生(になる可能性がある人材)であっても若い・経験が少ないというだけで、第一印象でそういうマイナスな印象を抱く保護者は少なくないんですよね…
新卒採用・若いっていうだけで、
「子どもを産んだことないくせに」
というクレームを受けることも…
今回の山形県の取り組みは、保護者の不安を拭うという意味でも効果的だなと感じます。
新採教員を「守りながら育てる」意識が、教員不足対策に
何より「後進の育成に取り組むことを大切にしている姿勢」が自治体としてはっきりと表れていることが、この事業ではもっとも重要だと思います。
新卒採用でいきなり担任を持って、相談したくてもベテランの先生たちは忙しそうだし、でも目の前の児童や保護者たちとは日々いろんなやりとりがあるし…ああ授業準備が…という状況だと、プレッシャーや責任に押しつぶされそうになっても不思議ではありません。
真面目な先生や理想の先生を思い描いて教職に就いた人ほど、「自分がダメだから」「力不足なせいだ」と無用に自分を責めてしまうことで、やがては精神疾患による休職・退職に陥ってしまう可能性も大いにあります。
そうして教員不足になるわけですよね。
経験がある先生たちとしても「こういう時はこう対応する」というテクニックを見せる機会があるのはいいことですし、新任のほうはいろんな先生のやり方を見て自分にあった方法を探せる・相談できる相手がいるっていうのがすごくいいですよね。
今後も支援員の人数確保などの課題はありますが、全国どこの自治体でもこういうシステムになったら、教職の人気ももう少し復活するだろうと強く感じました。
実際、2025年度採用の教採では
小学校の志願者数が
1割以上増加したそうですよ!
まとめ
今回は「新任は1人でクラス担任を持たない」に関する話題を紹介しました。まとめるとこんな感じです。
因果関係はまだはっきりしないそうですが、これだけ全国の自治体が教員不足に悩む中で山形県では志願者が増えているのは、この取り組みの成果も大きいのだろうと思いますよ。
「新採教員育成・支援事業」は新任の先生にとっても、児童や保護者にとっても、指導する先生たちにとっても、まさに三方よしの事業だと言えます。
ちなみに元記事に掲載のアンケートによると、校長の7割以上がこの取り組みを高く評価しているそうです。
働きやすい環境になって、長く教壇に立ち続けられる先生が少しでも増えるといいですね。
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