こんにちは。
元美術教師のうさぎ先生です。
2024年1月1日に、「令和6年能登半島地震」が発生しました。
1月13日・14日実施予定の大学入学共通テスト直前に発生したこの地震の甚大な被害状況を受けて、文部科学省・大学入試センターからさまざまな特例措置がとられましたので、当ブログでは報道発表を整理して記録しておくことにしました。
「そもそも共通テストの追試って何?」「会場って本試験とは違うの?」といった疑問についてもわかりやすく回答していますので、共通テストについて知りたい方はぜひ最後までご覧くださいね。
1月3日 被災者が追試験の対象に・追試験会場を増やすと発表
地震発生の2日後、1月3日の報道です。
文科省から、おもに3つのことが発表されました。
- 共通テストの本試験は予定通り実施する
- 被災を追試験受験の対象にする
- 追試験会場を被災地に新たに設置する
地震の影響で本試験を受験出来ない人がいると見込まれるとして、27日・28日に予定されている追試験が受験できるように特別措置を講じるとしています。
被災地域の受験生であっても、
13日・14日の本試験受験が可能です。
状況次第で選べるよってことですね。
1月5日 受験票紛失でも受験可能・石川県に追試験会場を設置
地震発生の4日後、1月5日の報道です。
文科省から、おもに2つのことが発表されました。
- 受験票なしでも受験可能とする
- 追加の追試験会場は石川県内に設置する
具体的な会場はこれから検討し、特例措置の対象となる地域や申請方法などは近く公表するとしています。
1月9日 金沢大学角間キャンパスが追試験会場に決定
地震発生の8日後、1月9日の報道です。
文科省から、金沢市内にある「金沢大学角間キャンパス」が追試会場になることが発表されました。
また、被災していて受験票が手元にない場合や、その他にも調査票など書類が揃わない場合があっても、できるだけ柔軟な対応をとるよう大学に対して依頼するとしています。
Twitter(X)では「能登方面に設置できないのか」という意見を見かけましたが、そもそも石川県内の共通テスト本試験会場で最も北にあるのがかほく市の「石川県立看護大学」なんですよね。
かほく市は能登と金沢の間に位置しています。
元々の志願人数が金大角間キャンパスの2768名に対して石川県立看護大学は235名なので、収容人数・対応する教員のことなど考えると金大が妥当なんだろうと思います。
参考令和6年度大学入学共通テスト試験場一覧|大学入試センター
「そもそも試験会場ではない場所」
には設置しづらいでしょうし、
他県からのアクセスを考えると
やはり金大かなという感じです
避難所で過ごしている受験生は前もって金沢に移動して、どうか温かい場所で試験当日を迎えられたらと願ってやみません…
1月9日 特例措置の対象者と申請に必要なもの
9日の夜遅くに、大学入試センターから今回の特例措置に関する詳細が発表されました。
詳細令和6年能登半島地震に関する令和6年度大学入学共通テストにおける 特例措置の実施について|大学入試センター
共通テスト特例措置の対象者
特例措置の対象者は次のとおりです。
- 本試験の会場が石川県に指定されている者
- 本試験の会場は新潟県・富山県・福井県・その他の都道府県に指定されているが、被災するなど特別な事情があると認められる者
石川県や北陸地方に限らないとのことです。帰省中に被災した場合などもありますもんね。
そして基本は東日本は東京会場(東京外国語大学)、西日本は京都会場(京都工芸繊維大学)にそれぞれ追試験会場が指定されますが、被災により困難な理由がある場合は、金沢大学角間キャンパス試験場に変更することが可能です。
共通テスト追試験の受験申請に必要なもの
今回の地震で被災したことにより追試験を申請する場合は、罹災証明書などの証明書の提出は不要です。
本試験の会場が石川県に指定された受験生に関しては、疾病や事故など被災を理由としない場合であっても、証明書類の提出は不要になっています。
ただし、本試験の会場がその他の都道府県に指定された受験生に関しては、疾病や事故など被災を理由としない場合は証明書類の提出が必要ですので要注意ですね。
共通テスト追試験の受験申請方法
追試験を希望する場合、1月14日までに本試験を受ける予定だった大学に電話連絡をして申請します。
直接来場や郵送の必要はありません。
やむを得ず15日以降になってしまった場合は、すみやかに大学入試センター事業第1課の大学入試センター志願者専用電話に電話連絡します。
大学入試センター志願者専用電話
(03-3465-8600)9:30〜17:00
共通テスト受験票を紛失している場合
被災により受験票を紛失している場合、仮受験票発行のために1時間程度早めに試験場に行く必要があります。
学生証や本人確認書類・写真などの持参は不要です。
そもそも、共通テストの追試験って何?
共通テストの追試験を受けられるのはどんな人?
そもそも共通テストの追試とは、疾病・負傷・事故などのやむを得ない理由で当日に受験できなかったときに別日程で受けられる試験です。
毎年50万人以上の志願者がいますが、そのうち追試験のみを受験した人数はコロナ禍以前で200〜400人程度、コロナ禍で1000〜2000人程度になっています。
共通テストの再試験と追試験は別物なの?
よく似た名称の「再試験」がありますが、これはまったく別物です。
これは試験会場・本部の不手際により試験が正常に受けられなかった場合に行われる試験です。
たとえば英語のリスニング用ICプレイヤーの故障や問題冊子の配布ミス、監督者による試験時間の指示が誤っていた場合に対象となります。
他にも自然災害によって試験が受けられなかった場合も再試験の対象になりますが、今回の能登半島地震とは違って、試験当日に起きた自然災害によるものを指すようです。
追試験と再試験は別物と言っても、受ける試験内容や日程は追試験の人が受けるものと同じです。
共通テストの追試験会場は全国に2つしかない?
実は追試会場って、全国でたった2箇所しかないんです。
コロナ禍だった2021・2022・2023年1月実施の分は全国47都道府県に1つずつ設置されていましたが、それ以前は東京+関西のどこかの合計2箇所だったんですよね。
前述の通り追試の対象になる受験者はごく少数ですから準備・運営の都合上仕方ないのでしょうが、受験のための交通費・宿泊費は受験生負担ですから、なかなか大変な話です。
沖縄や北海道、離島の受験生でも
そこまで赴かないと追試・再試を
受けられないっていうのは、
改めて考えるとすごい仕組み…
実は再試験を受ける人は例年ほとんどいないようなのですが、これだけの時間的・金銭的負担を考えたら、二次試験のほうに注力したいと思うのは自然なことのように思ってしまいますね;;
ちなみに2012年には配布トラブルで7500人ほどの受験生が再試験の対象になったケースがあり、この時はさすがに同じ会場で実施されたそうです。
共通テストの追試験があるのはいつ?
センター試験時代は1週間後の開催となっていましたが、共通テストになって以降、つまり2021年1月実施以降は2週間後になっています。
本来は従来通りの1週間後の予定だったようですが、新型コロナウイルスの潜伏期間をふまえて2週間後に設定されました。
その後にある本番とも言える二次試験対策を考えると追試験は早いに越したことはありませんが、体調不良でやむを得ず追試になった場合、たしかに1週間後だとちょっと厳しい気がしますよね。
今回はコロナ禍の名残でたまたま2週間後になっていましたが、被災者の状況を考えると、少しでも猶予ができてホッとしている受験生も多いのではないでしょうか。
来年以降、どうなるかは…?
「追試は2週間後」が
定着しそうな気もしますね
本試験より追試験の方が難しい?
本試験とは別の問題になるので、どちらの難易度が高いということは一概には言えないんですよね。
わたしがセンター試験を受けた2008年当時は、「追試の方が一週間長く勉強してるからその分難しくなっている」とささやかれていました。
共通テストになってからは問題の傾向もずいぶんと変わっていますので、過去問を解いて違いを確かめてみるのが一番いいかなと思います。
おわりに
今回は2024(R6)年1月実施の大学入学共通テストについて、「令和6年能登半島地震」の被災者に対する特例措置を詳しくご紹介しました。
被災地域の受験生であっても、状況が許すのであればもちろん13日・14日の本試験受験も可能です。
最新の情報は、大学入試センターの公式HPや文部科学省の公式HPでご確認くださいね。
実は石川県はわたしの出身大学の所在地でもあるので、今回の地震の被害には本当に胸を痛めています。
漆木工の専攻だったので輪島には何度も行ったし、お世話になった先生方もたくさんいらっしゃいます…
改めまして、犠牲となられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、すべての被災者の方々に心からお見舞いを申し上げます。
本人や家族の被災の状況次第では、今年の受験を諦める選択をする受験生もいるかもしれませんが…
これまでの頑張りを生かせるようになんとか挑戦してもらいたいと心より願っています。
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